従来型の人事制度が抱える5つの問題
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いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。
従来の人事制度が持つ構造の根本には、金銭的報酬による「アメとムチ」によって社員さんの行動を「コントロール」しようとする意図があり、その構造そのものを変える必要があると前回お伝えしました。
今回は、アメとムチの論理がどのような弊害を生み出すかについて詳しくお伝えしたいと思います。
前回の記事
「人事制度の「構造」を変えなければならない理由」
従来の人事制度が抱える5つの問題
評価と給与の「連動」を追求してきた従来型の人事制度は、次の5つの問題を引き起こしていると考えます。
① 働く喜びを奪う
② 自律心を阻害する
③ 成長意欲を減退させる
④ 社会貢献に目が向かなくなる
⑤ 複雑すぎて運用が難しい
1番目から4番目までの問題については、マーティン・セリグマン氏やミハイ・チクセントミハイ氏、エドワード・デシ氏などの研究者たちによって明らかにされています。
ここでは学者さんたちの研究を詳しく紹介することはしませんが、これらの学者さんたちの研究結果は、私が人事制度の構造を変えなければならないと考えだしたきっかけの1つになっていますので、少しだけ紹介しようと思います。
2つの動機づけ
人間のモチベーションに影響を与える要因を2つに分けると、「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」に区分されます。
「外発的動機づけ」とは、文字通り、外部からの刺激による動機づけです。
たとえば、
* 目標達成時の金銭によるインセンティブ
* 昇給(減給)、昇進(降職)、昇格(降格)などの人事施策
* 褒められる、叱られるなどの他者からのフィードバック
* 人間関係や社会動向などの知覚された外部環境
これらの外部からの刺激によってモチベーションが高まったり、逆に低くなったりすることが、外発的動機づけです。
「アメとムチ」によってモチベーションを高めようとする施策は、この外発的動機づけになります。
もう1つの要因である「内発的動機づけ」は、活動そのものが「楽しい」「嬉しい」「おもしろい」ことによる動機づけです。
つまりは、その活動を行うこと自体が報酬となっています。
たとえば、子どもが遊びに没頭する様子を思い浮かべると、遊ぶことに没頭している子どもは、何か見返りがあるから没頭しているわけではありません。
「楽しい」から没頭しているわけです。
母親が何か言葉をかけても返事もせずに、ものすごい集中力で遊んでいることもあります。
このような、外部の状況も気にならなくなり、時間感覚もなくなるぐらいに活動に没頭している状態を、心理学者のミハイ・チクセントミハイ氏は「フロー」と呼びました。
私にも、寝食を忘れて仕事に没頭したフローの体験がありますし、ほとんどの人が経験したことがあるのではないでしょうか。
これが、内発的動機づけによって行動している状態です。
この「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」の2つの動機づけが、人間のパフォーマンスや創造性、継続性などに与える影響について、たくさんの研究者が実験や調査による研究を行ってきました。
ここでは、人事に関連の深い研究結果だけを紹介します。
内発的動機づけがますます重要になる
まず特筆すべき研究結果は、内発的動機づけによって活動しているときの方が、「幸福度」が高いということです。
「満足度」と言い換えてもよいですが、活動を行うことによって生じる達成感や充実感が、内発的動機づけの方が高いのです。
これはある意味で、当たり前のことと言えます。
活動そのものが「楽しい」「おもしろい」と感じているのだから、充実感や達成感が高くなるのです。
もう1つ重要なことは、内発的動機づけの方が、人間の「創造性」が引き出されるということです。
逆に言うと、外発的動機づけは創造性を阻害するのです。
このことも、経験に照らし合わせると、イメージが湧くでしょう。
外部からの刺激によって「イヤイヤ」ながら行っている仕事だと、創意工夫をして更に高いレベルを目指そうとは思いません。
なるべく必要最小限の労力で課題をこなそうとするでしょう。
しかし、自分な好きな仕事に関しては、誰に強制されることなく創意工夫を重ねますし、たくさんのアイデアも思い浮かんできます。
未来の社会を考えたときにこの点が重要なのは、これからの社会は、ますます創造性を求められる仕事が増えてくることです。
今現在でも創造性が必要ではない仕事は、ほとんど存在しないと言っていいでしょう。
私はたくさんの人と話をする機会がありますが、よく「自分の仕事は言われたことをその通りにこなすこと」と言う人がいらっしゃいます。
しかし、私から言わせると、創意工夫の余地はたくさんあるように感じますので、創意工夫をする意欲が湧いていないだけだと思うのです。
そして、これからの社会では、創造性こそが仕事におけるもっとも重要な要素となります。
つまり、内発的動機づけがますます重要になってくるということです。
この記事の続き
「従来型の人事制度は働く喜びを奪ってしまう」
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