人事制度のご紹介

ノーレイティング型人事制度の特長

一般的な人事制度は、人事評価制度で社員さんに点数をつけて、その点数をもとに給与制度で一人ひとりの給与額(昇給額・賞与額)を決めるという構造です。

しかし、生きがいラボの「No Rating型人事制度®」では、人事評価制度と給与制度を分離して運用します。人事評価制度で社員さんの点数づけを行いませんし、給与額は「未来への投資」というコンセプトで個別に決定します。

点数づけを廃止した理由は、社員さんの働きに「完全に客観的で合理的な点数」をつけることなど不可能だからです。完全に客観的で合理的な点数をつけることが不可能ならば、それに基づいて給与額を決めることに合理性など存在するはずがありません。

つまりは、人事評価制度と給与制度を連動させる従来型人事制度は、「人間を点数化できる」という幻想のもとに成り立っているのです。

仮に、無理やりに点数をつけたとしても、社員さんのモチベーション向上につながりません。

米国を中心にしたグローバル企業もこのことに気づき、2015年頃から「No Rating(ノーレイティング)」という年次評価における社員さんの点数づけを廃止した人事制度が広まってきています。ようやく、人事制度が人間の本質に近づきつつあります。

生きがいラボでは2010年から、社員さんに点数をつけないノーレイティング型人事制度の設計・運用コンサルティングを行っており、たくさんのノーレイティング型人事制度のノウハウを持っています。
従来型人事制度は、無理やりにでも社員さんを点数化する必要があるため、非常に複雑な構造を持たざるを得ませんでした。制度が複雑であることによって、人事専任部署がなければ運用ができませんでした。

しかし、社員さんに点数をつけないことで、ノーレイティング型人事制度は「劇的にシンプル」な構造になっています。そのことによって、人事専任部署がない中小企業やベンチャー企業、スタートアップして間もない企業、非営利組織でも運用が可能になります。

なおかつ、制度がシンプルであることで、人事制度に込められた「メッセージ」をより強烈に発信することができるようになりました。そのメッセージこそが、「自律・成長・貢献が生きがいをつくる」という仕事観・人生観になります。
現在の日本社会は、大きく誤解していることがあります。それは、「モチベーションを高めるのは企業側の責任」ということです。

たしかに企業側にも責任はありますが、本質をいうと、企業が社員さんのモチベーション(=生きがい)を高めることはできません。できることは、生きがいを感じやすい「環境」をつくることだけです。

生きがいは、社員さんが自分の力で創り出すしかありません。そして、生きがいを創るための要素が、「自律(=自分で決める)」「成長(=ありたい自分像に近づく)」「貢献(=人の役に立つ)」の『実感』です。

ノーレイティング型人事制度は、「自律」「成長」「貢献」の実感を得るための環境づくりです。その環境のなかで努力することによって、今まで以上の「生きがい」を感じられるようになるのです。
ノーレイティング型人事制度は、「キャリア開発制度」「1on1制度」「360度フィードバック制度」「自己申告型給与制度」の4つの制度で成り立っています。

評価と給与が分離しているノーレイティング型人事制度では、それぞれの制度が分離独立して運用されますので、柔軟に変更できるというメリットがあります。

それとは反対に、従来型人事制度は、それぞれの制度が密接に連動している複雑な構造を持っていますので、どこかを変更しようとするとそれに連動して別の箇所を変更しなければならなくなります。制度変更が柔軟にできません。

環境変化の激しい時代において、迅速に変更できる制度でなければ、すぐに陳腐化してしまうでしょう。

ノーレイティング型人事制度を構成する「4つの制度」

目的社員さん一人ひとりが自分らしい職業人生を歩むことをサポートする

人事制度の本質的役割は、「企業の経営ビジョン」と「社員さんの人生ビジョン」をすり合わせ、共創関係を構築することにあります。
社員さんは経営ビジョン実現のための貢献を考え、企業は社員さんの人生ビジョン実現のサポートを考えるという互恵関係を構築することが、人事制度の役割です。そのためには、それぞれにビジョンを明確に打ち出す必要があります。

だからまずは、社員さんが人生をデザインする場が必要であり、それをサポートするのが「キャリア開発制度」です。
「キャリア開発」というと「昇進」「出世」などを思い浮かべる人が多いと思いますが、それはキャリア開発の一部分に過ぎません。

自分が幸せだと感じる人生のありたい姿(=人生ビジョン)に向かって進むために、仕事とどう向き合うのかを社員さん一人ひとりが自分で考え、そのために必要な自己成長を計画することが「キャリア開発」です。

つまり、生きがいラボが考えるキャリア開発とは、企業主導の人材育成ではなく、あくまでも社員さん一人ひとりの自律性に基づくものです。なぜなら「生きがい」とは他者から与えられるものではなく、自分でつかみ取っていくものであり、本当の「生きがい」を感じるためには、自分の人生を自分でデザインすることが必要だからです。
キャリア開発制度では、社員さんが自分の人生ビジョンを描くためのガイドラインを提供し、人生ビジョン実現に必要なスキル獲得をサポートしていきます。

目的社員さんの人生ビジョン・キャリアビジョンの実現をサポートする

社員さんが人生ビジョン・キャリアビジョンを明確にするのと並行して、企業側は、経営ビジョン実現のために社員さんに期待する「貢献」を明示し、それを「目標」へと落とし込みます。

そして、企業が期待する「貢献」と、社員さんの「人生ビジョン・キャリアビジョン」を、対話によってすり合わせていく場が「1on1制度」です。
上司と部下が対話を行う1on1は、企業側がノルマを提示する場ではありません。お互いにとって有益な目標を協力して創りだし、一緒にその達成を目指していく場が1on1なのです。

1on1制度は、目標管理制度とは目的が違いますので、そこで生まれるコミュニケーションの質もまったく違いますが、形式上は目標管理制度に似たようなイメージを受けます。そして、ほとんどの社員さんは、「目標管理」と聞くと拒否反応を示します。一般的な目標管理が、ノルマの進捗管理として使われているからです。ノルマで縛られることを好む人など存在しません。
しかし、生きがいラボの1on1制度は、ノルマによって社員さんを縛りつけるための制度ではなく、社員さんの人生ビジョン・キャリアビジョンと企業の経営ビジョンを、ともに実現していくための共創の場になります。

目的お互いの成長をサポートし合う企業文化を醸成する

「360度フィードバック制度」は、社員さんが人間性・人間力を高めていくことをサポートする制度です。一般的に、「情意評価」と呼ばれる部分にあたります。
人間性・人間力というのは、評価が非常に困難です。しかし、点数をつけることはできなくても、私たちは他者に対しての評価を日常的に行っています。


「あの人は、責任感の強い人だ」
「あの人は、チャレンジ精神が旺盛だ」
「あの人は、協調性に欠けるね」
「あの人は、いつも受け身の姿勢だな」

などは日常会話でも出てくるフレーズですが、これらはすべて人間性・人間力についての評価です。このように、人間は日々、他者に対して「主観」では評価しています。そして、主観での評価が集まって、その人への「評判」や「イメージ」を決めています。つまり、主観が集まって「客観」となっているのです。

360度フィードバック制度は、上司が評価するだけではなく、同僚や後輩、部下、他部署の人からも評価されることによって、人間性・人間力に対する評価をより客観的な情報にするための仕組みです。もちろん、点数をつけたりはしません。成長課題を明確にするための情報提供を行うことが目的です。

一般的な「360度フィードバック制度」「360度評価制度」というのは、上司だけではなく同僚や部下・後輩からも人事評価を受ける仕組みですが、生きがいラボの360度フィードバック制度は目的が違います。
生きがいラボの360度フィードバック制度は、お互いの「素晴らしいところ」や「いつも感謝していること」を伝えあい、人間関係を円滑にし、信頼関係を高めることが目的です。
信頼関係が高まったところで、お互いの成長課題を伝えあう段階に移行します。いきなり成長課題をフィードバックしあっても、逆効果になるだけです。

目的社員さん一人ひとりが「人生の経営者」として自律することをサポートする

「期待イメージ」は、自己申告型給与制度の中核的な存在です。経営ビジョンを実現するために、社員さんに期待する貢献内容を「期待イメージ」によって明示します。社員さんは、期待イメージで提示された貢献内容のなかで、自分の人生ビジョンに合致する貢献(責任)を「選択」し、それをもとにキャリアビジョンを考えます。

生きがいラボのノーレイティング型人事制度は、「評価と給与を分離」していますから、他の一般的な人事制度の給与制度とは、まったくコンセプトが異なる仕組みとして給与制度が存在しています。


一般的な人事制度では、給与は評価によって決定されますが、ノーレイティング型人事制度の最大の特長は、「評価と給与の分離」です。ですから、人事評価によって給与が自動的に決定されるという仕組みではありません。社員さんと企業の「対話」によって給与を決定します。しかし、何もない白紙の状態から対話をするのは困難ですから、「期待イメージ」というガイドラインを設けています。
一般的な人事制度は、評価と給与が「連動」していますが、そのことによって「何をしたら評価が上がるのか、何をしたら給料が増えるのかを企業側が示すべき」という依存心を助長してきました。その依存心が、不平不満やグチを生み出してきたのです。
生きがいラボの自己申告型給与制度は、企業への依存心を捨て、「人生の経営者」として自律することを社員さんに求めます。そのことが、本当の「生きがい」を生み出すという信念を持っています。