「ノーレイティング」とはどんな制度なのか?
- カテゴリ:ノーレイティング(No Rating)
いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。
今年初めての投稿になります。今年も「人事制度のあるべき未来像」を探求していきますので、よろしくお願いします。
昨年は、「ノーレイティング」というテーマに関心を持ってくださる方が増え、さまざまなところでご縁をいただくことができました。
ノーレイティングについてこれまでもお伝えしてきましたが、これから数回かけて、人事制度の設計や運用をしたことがない方にもご理解いただけるように、
「ノーレイティングとはどんな制度なのか」
ということを、できるかぎり丁寧に解説していきたいと思います。
ただ、私も人事制度の世界に長くいますので、もしかしたら、解説なしで人事用語を使ってしまうこともあるかと思います。
その際には、ご遠慮なくご質問いただければ嬉しいです。
では、「ノーレイティングとは何か」について解説していきたいと思います。
「ノーレイティング」とは何か?
ノーレイティング(No Rating)とは、「レイティング(Rating)」を「No」という言葉で否定していますので、
『レイティング(Rating)をしない』
ということです。
では、人事制度における「レイティング(Rating)」とは何なのかというと、
1.自社の評価基準によって、定期的に社員さんの仕事に点数をつける
2.社員さんの評価結果(点数)を、部門内や部署間で相対的に調整し、ランクをつける
ということを言います。
3つの「評価基準」
1番目の「評価基準」については、それぞれの組織によって考え方が違いますが、代表的なものでいうと、
◆情意評価=規律性、責任性、積極性、協調性などの仕事をする態度や考え方を評価
◆能力評価=保有する能力(職務遂行能力)や、発揮する能力(コンピテンシー)を評価
◆成果評価=目標の達成率や仕事の進捗度などの成果や業績を評価
の3つが評価基準の区分として挙げられます。
情意評価の四要素
『情意評価』のところにある「規律性」「責任性」「積極性」「協調性」は、『情意評価の四要素』といわれ、情意評価の代表選手です。
それぞれの意味は、
◆規律性:「社内ルール」「法令」「約束」「時間」などのルールを守ること
◆責任性:自分の役割や目標を100%やり遂げようとすること
◆積極性:高いレベルの仕事や、やったことのない仕事にチャレンジすること
◆協調性:人と協力したり、人を助けたり、人を思いやったりすること
これらの態度や考え方の評価基準に対して、一般的には直属上司が部下を評価し、点数をつけることになります。
能力評価と成果評価
『能力評価』は、自分の組織で必要となる能力についての評価のことで、
例えば営業部署では「商品知識」「プレゼンテーションスキル」などの項目を設けて、それを評価することになります。
『成果評価』は、仕事の結果や成果についての評価のことで、
営業部署でしたら「獲得した売上」「契約した件数」などの項目になり、多くの場合は、目標管理制度のなかで目標を設定して、その達成率によって点数をつけることになります。
これらの評価基準を使って、社員さんの働きぶりに点数をつけることを「レイティング(Rating)」と呼び、
「ノーレイティング(No Rating)」とは、そういう点数づけをやめようということです。
かなり長くなってしまいましたので、2番目の「相対的に調整しランクをつける」の説明は、次回にさせていただきたいと思います。