人事制度の見直しをする5つのポイント
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人事制度は社員さんの不満の対象になりやすく、「人事制度を見直す必要がある」と考えておられる経営者さんや人事担当者さんは多いのはないでしょうか?
人事制度は、社員さんの関心が高い分野でもありますし、社員さんの思考や行動に大きな影響を与えるテーマですので、自社に合った人事制度にすることが一番大切なことだと思います。
また、制度を整えることはもちろん大切ですが、 もっと大切なのは、制度の奥にある「関係性の質」を見直すことかもしれません。
社員さんと会社との関係を、「評価する・される」から「対話し、一緒に進む」へ。
制度を「ルール」ではなく「共創の土壌」と捉え直すことで、 未来への貢献が自然と生まれる組織に変わっていけるのではないでしょうか。
今回の記事では、そんな視点から人事制度の見直しを考えたい経営者さんへ向けて、 具体的なステップや注意点などをまとめました。
1.なぜ今、人事制度の見直しが必要なのか?
技術革新、価値観の多様化、働き方の変化。
かつての制度が機能しなくなりつつある今、 制度の「正しさ」よりも「自社らしさ」が問われる時代になっています。
時代に合わせるというよりも、 自社の思想やビジョンを起点に、制度を再構築することが求められていると感じます。
もっとも大切なのは、「どんな会社にしたいのか」という経営者さんの想いです。
その想いと現行人事制度が合っているのならば、現行の人事制度のマイナーチェンジでいいのかもしれません。
しかし、経営者さんの想いと現行人事制度が合っていないのならば、抜本的な人事制度改革が必要なのかもしれません。
当社のお客様は、社員さんが主体的に働ける会社を目指すなかで、画一的な評価基準によって人事評価を行う一般的な人事制度が経営者さんの想いと合っていないということで、当社の自己申告型給与制度を採用してくださいました。
大切なのは「なぜ人事制度を見直すのか」という理由です。
2.人事制度を見直すことのメリット
人事制度の見直しには、以下のような多くのメリットがあります。
■社員さんの情熱が高まる: 納得感のある人事処遇に関する仕組みは、社員さんが主体的に働くエネルギーにつながります。
■信頼関係の構築: 一方的に決めるのではなく、対話を通じて運用していくならば、社員さんとのより深い信頼関係につながります。
■離職率の低下・定着率の向上: 社員さんが「ここで働き続けたい」と思える仕組みが整えば、定着率も高まり、人材流出のリスクが減ります。
■未来志向の組織文化が育つ: 過去の評価だけでなく、これからの貢献に目を向ける制度設計をするならば、挑戦が歓迎される文化が生まれます。
■企業の持続的な成長: 社員さんが主体的に働くことが、結果的に組織の創造性や生産性を高め、成長を後押しします。
3.人事制度の見直しを成功させる5つのステップ
ステップ1:現状を知る
社員さんの声を聴くことから始めましょう。 モヤモヤ、違和感、期待、不満。それらに耳を傾けることで、 制度の方向性が見えてきます。
ステップ2:未来のありたい姿を描く
制度を変える前に、「どんな組織でありたいか」「何を大切にしたいか」を探求しましょう。 人事制度・給与制度は、組織の価値観を体現する“器”です。
ステップ3:制度を設計する
評価制度も、給与制度も、役割設計も、「何を大切にするか」から逆算して設計しましょう。 評価しないという選択(ノーレイティング)も可能ですし、 自己申告で未来への貢献を宣言するスタイル(自己申告型給与制度)も有効です。
ステップ4:導入前に、丁寧に伝える
どんなに良い制度でも、伝わらなければ意味がありません。 説明会や1on1などを通じて、対話の中で納得感をつくることが大切です。
ステップ5:育てていくという姿勢で運用する
制度は“育てていくもの”。 運用の中で出てきた声に耳を傾けながら、 毎年少しずつ変化させながら、自社らしい人事制度に育てていきましょう。
4.成功・失敗事例から学ぶ
成功している会社さんに共通しているのは、シンプルな人事制度に経営者さんの「こんな会社にしたい」という想いを込めて、運用上は 「社員さんとの対話」を大切にしていること。
逆に、失敗するケースは、客観性を意識しすぎるがあまり、人事制度を過度に複雑にしすぎて、社員さんとの1on1が「点数をつけること」に終始してしまうこと。
大切なのは、「対話」と「シンプルさ」です。
5.法改正への対応も視野に
社会保険や労働法の改正など、 制度設計には法律面の確認も欠かせません。 必要に応じて、社労士さんなど専門家の助言を取り入れましょう。
まとめ:制度を変えることは、関係性を変えること
人事制度は、会社の「空気感」をつくる力を持っています。
だからこそ、制度は“仕組み”ではなく“関係性”の一部。
評価する側・される側という関係を超えて、 未来を共に創る仲間として関わるために、 人事制度を、会社と社員さんが信頼を育む「共通言語」にしていくことが大切だと思います。
この記事が、制度という仕組みを越えた“関係性の見直し”のきっかけになれば嬉しく思います。
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