目標達成率で評価するデメリット
- カテゴリ:ノーレイティング(No Rating)
いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。
ノーレイティング型人事制度では、目標管理はどのような「あり方」に変わるのかを、
① 計画 : 目標設定・計画立案
② 実行 : 計画の実行と進捗管理
③ 改善 : 計画と実績の差異評価・改善策立案
の3つの段階に分けて扱います。今回は2番目と3番目の段階について考えていきましょう。
前回の記事
「理想の目標を設定する方法」
進捗管理のポイント
従来型の人事制度での進捗管理のテーマは、「期首」に設定した目標をどうやって達成するかということです。
目標達成率が給与に連動していきますから、目標を期中で変更することがなかなか難しくなります。
もし目標未達成の期間が続けば、残りの期間で挽回するために目標が積み上がり、とんでもなく高い目標になっていくこともあります。
現状を無視した、数字合わせに陥っていくわけです。
これは本来の意味での「目標管理」ではなく、「ノルマの押しつけ」です。
それとは逆に、当社のノーレイティング型人事制度では、状況に合わせて期中に目標を変更しても、何の問題もありません。
目標の達成率が給与と連動していないからです。
この方が経営環境の変化に合わせて、柔軟な対応がとれます。
大切なのは、目標管理制度を滞りなく運営することではありません。
問題の真因をいち早く発見し、仮説を立て、その仮説を検証・修正していくことが大切です。
そのプロセスを通して、人生を豊かにするスキルも身につけられます。
目標はそのための目印に過ぎず、給与決定のための評価を止めることで、目標管理の本来の目的を果たせるようになります。
達成率で評価するデメリット
3番目の「改善」の段階についてみていきます。
この段階において、ノーレイティング型人事制度と従来型人事制度の違いが最も大きく現れます。
それは「何をもって実績を評価するのか」の違いです。
従来型の人事制度では、目標の「達成率」によって評価されます。
評価結果が給与に連動する従来型人事制度では、評価結果の「客観性」が最重要課題となります。
客観性とは「誰が見ても納得できる」ということです。
だから必然的に「数値」にすることが求められます。
数値の方が、客観性が高いからです。
目標管理の実績において、最も数値化しやすいのが「達成率」です。
期首に数値で目標を設定していれば、何かしらの数値になって達成率が出てきます。
目標達成率は、実績の客観性を高めるために便利なのです。
しかし、「客観性の高さ」がそのまま真実を表すかというと、それはまったく違ってきます。
目標を低く設定したならば、達成率は高くなります。
逆に、高い目標にチャレンジすると、達成率が低くなってしまう可能性が高くなります。
目標達成率が給与に連動することで、高い目標にチャレンジしようという意欲が失われるのです。
このことを是正するために、付加点を設けたり、目標設定時にチャレンジ度・難易度・重要度などの項目を設けたりするのですが、所詮は点数をつけるためのおまけ程度の取り組みです。
目標達成率を無視することを勧めているのではありません。
目標達成率は、視点の一つとしては必要だと思います。
しかし、目標達成率が給与と連動することによって、目標管理の意義が失われることが問題なのです。
その一方で、ノーレイティング型人事制度では、評価結果が給与に連動しませんから、数値化する必要がありません。
数値化どころか、制度上は評価する必要もないのですが、給与への連動とは異なる2つの目的で評価は行っています。
① 社員さんと企業のビジョンを共有するため
② 社員さんの成長をサポートするため
この説明は次回にさせていただきます。
この記事の続き
「目標管理制度における「評価」のあり方」
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