ノーレイティングでの給与制度を分かりやすく解説します
- カテゴリ:ノーレイティング(No Rating)
いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。
ノーレイティングという、人事評価における点数づけやランクづけを廃止した人事制度を導入するうえで、
一番頭を悩ませるのが「給与をどうやって決めるか?」ということだと思います。
今回は、ノーレイティングでの給与制度について、分かりやすく解説したいと思います。
管理職が部下の給与決定の裁量を持つ
一般的な人事制度が、上司も部下もストレスを感じながらも人事評価を行ってきたのは、人事評価による点数やランクが給与決定に必要だったからです。
人事制度による点数やランクによって、各等級ごとに設定された号俸をどれだけ進めるかが決まり、それがその期の昇給額になるという仕組みです。
たとえば、Sランクになると7号俸、Aランクは5号俸を進めるというイメージです。
それぞれの号俸の間を「ピッチ」と呼び、たとえば1等級のピッチが1,000円だったとすると、7号俸進むと7,000円の昇給、5号俸だと5,000円の昇給、ということになります。
こういう構造だと、イヤイヤながらも人事評価をするしかなかったわけです。
ノーレイティングでは人事評価を行いませんので、こういう構造がありません。
その代わりにどうやって給与を決めるかというと、上司が部下の給与を決めることになります。
細かい決め方については、ノーレイティングを導入している企業によってそれぞれ違いがあるとは思いますが、人件費予算を部門ごとに割り振り、予算額内で管理職が部下の給与額を決定する、というやり方になります。
この時に割り振られる人件費予算については、総額の人件費予算を割り振って基本給を含む給与額すべての決定を管理職に委ねる方法と、昇給額の予算を割り振って昇給額の決定を委ねる方法の、主に2通りになります。
管理職が給与決定よりも大切なことに時間をかける
ノーレイティングでは、管理職が部下の給与を決めることになるので、一見すると管理職の権限が強くなったようにも映ります。
しかし、実際にはそれとは正反対のコンセプトの取り組みです。
あるグローバル企業でノーレイティングを進めてきた人事責任者さんがおっしゃっていたことですが、「わずか数千円の昇給額を決めるのに、上司と部下が何時間も話し合うのは時間のムダ」であり、
本当に話し合った方がよいことは、人事評価を決めるための「過去」の解釈ではなく、「これから何をするか?」という「未来」のことです。
私も完全に同意見です。
一般的な人事制度では、人事評価の時期になると、上司と部下はお互いの過去の解釈(=部下の実績の評価)について喧々諤々話し合いをすることになりますし、上司側は部下の評価の調整を部署内・部署間で行わなければなりませんので、大変な時間と労力がかかります。
それだけ時間をかけて、部下のモチベーションが高まればよいのですが、多くの場合は人事評価によってモチベーションが高まることはありません。
それだったら、人事評価という時間のかかる行為を廃止して、上司と部下がこれからどんなことをやっていくのかという「未来」のことを対話した方が、何倍も建設的な時間の使い方だと思います。
ノーレイティングでは、管理職と部下のコミュニケーション促進が大きな狙いでもありますので、次回に解説したいと思います。
※この記事のつづき「ノーレイティングにおける1on1のメリットを解説します」
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