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日本企業は「No Rating(ノーレイティング)」を採用すべきか?

  • カテゴリ:ノーレイティング(No Rating)

前回は、「No Rating」が米国で生まれた背景をお伝えしましたが、今回は日本での普及について考えたいと思います。

※前回のブログはコチラ「「No Rating(ノーレイティング)」が生まれた背景

 

結論から言いますと、私は日本企業においても「No Rating」の考え方が広まるべきだと考えています。

そして実際に、生きがいラボでは2010年から、「社員さまに点数をつけない」「評価と給与を連動させない」という「No Rating」と同じ設計コンセプトの人事制度を提唱してきました。

 

その理由も「No Rating」と同じで、これからの社会では「内発的動機づけ」の重要だと考えたからです。

 

しかし、発想のスタート地点は、若干違うように思います。

米国での「No Rating」が「パフォーマンス向上」から生まれたのに対して、私は「一人ひとりの生きがい」から発想しました。

 

仕事を通しての「生きがい」を感じるためには、

内発的動機づけを促進するような人事制度に変えなければならない

という問題意識が出発点でした。

 

この問題意識の背景には、2つの経営環境の変化があります。

1.外発的動機づけ(金銭的報酬)に限界がきた
2.心の豊かさを求める傾向が強くなってきた

 

1つ目を解説すると、経済の長期的な停滞によって、昇給や賞与によって動機づけすることが物理的に困難になったということです。

外発的動機づけというのは、与え続けなければなりません。

しかも、より強い刺激を与え続けないと、モチベーションを現状レベルで維持することさえできません。

つまり、現状のモチベーションを保とうとすれば、昇給額(率)や賞与の増加額(率)を上げ続ける、ということが必要だということです。

これは実質的に不可能ですから、外発的動機づけでは、いずれモチベーションが下がるということです。

 

2つ目は、物質的な豊かさが心の豊かさに直結しないことが、自殺や精神疾患の増加などを通して明らかになったということです。

物質的な満足とは、本質的には「他者との比較」による豊かさです。

自分の所得や生活レベルが高まったとしても、他者がそれ以上のレベルにいるならば、豊かさは感じられないのです。

金銭的報酬は容易に他者と比較できますから、それを追求し続けても永遠に「心」の豊かさは得られないのです。

 

私は、日本社会のなかで、意識的か無意識かの違いはあれど、そのことに気づき始めた人が増えてきているように感じています。つまりは、社会全体が「内発的動機づけ」を求めているように感じています。

 

これら2つの理由から、日本企業においても「No Rating」、言い換えると「内発的動機づけ」を喚起する人事制度への変革、を検討する価値があるように考えています。

また、実際にこれだけ「No Rating」が話題になるということは、そう考える人がたくさんいるということだと思います。

 

しかし、話題になることが増えるにつれ、「No Rating」への「誤解」や「事実と異なる情報」も見受けられます。次回は、この点についてお伝えしたいと思います。

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