ノーレイティングが人事評価でレイティングを廃止した理由
- カテゴリ:ノーレイティング(No Rating)
いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。
前回までで、ノーレイティングでは廃止になった「レイティング」とは何か、
についてお伝えしてきました。
今回のテーマは、人事評価でレイティングを廃止した理由です。
※前回のブログ「ノーレイティングでは社員さんのランキングを行わない」
内発的動機づけはパフォーマンスが高まる
ノーレイティングは、欧米のグローバル企業で広く導入されている仕組みです。
グローバル企業が、なぜ「レイティング」を廃止したかというと、
脳科学や心理学の発展によって、
組織・個人のパフォーマンス(業績・成果)を高めるためには、
「内発的動機づけ」が必要不可欠だと明らかになったからです。
「内発的動機づけ」とは、
仕事をする理由が「楽しい」「おもしろい」「やりがいがある」というように、
仕事そのものが働く動機になっているということです。
このことをフロー理論のミハイ・チクセントミハイ氏は、
「自己目的的」
と呼んでいますが、呼び方はどうあれ、
何か別の目的(報酬)のために仕事をしている状態ではなく、
仕事そのものが(心の)報酬になっていることをいいます。
内発的動機づけの逆を「外発的動機づけ」と呼びますが、
外発的に動機づけされている状態とは、言葉の通り、
外からの刺激(ご褒美や罰などの強制力)の力によって
仕事を『やらされている』という状態です。
仕事をやらされているとき(=外発的動機づけ)よりも
仕事がおもしろくて仕事をしているとき(=内発的動機づけ)の方が、
パフォーマンス(成果や生産性)が高くなるということは、
皆さんも経験を通して納得できるのではないでしょうか?
例として、私の息子もハマっているゲームをしているときには
時間を忘れて何時間でもやっていますが、
苦手な教科の宿題をしているときには、
しょっちゅうトイレに行ったり中断していて、
ゲームをやるようには集中できないようです。
人間は、内発的動機によって仕事をする方が、
仕事の生産性や成果が高まるようにできているのです。
レイティングは外発的動機づけとなる
ノーレイティングではない人事制度を「従来型人事制度」と呼ぶと、
従来型人事制度は、
レイティングの力で社員さんのパフォーマンスを高めようとしました。
つまり、評価の点数やそれに連動する昇給額の差を見せることで、
「高い点数をとりたい」「高い昇給額を得たい」という願望を持たせて、
パフォーマンスが高まることを期待したということです。
レイティングという外発的動機づけによって
社員さんをより頑張らせようという従来型人事制度の仕組みは、
一見すると理にかなっているようにも思えます。
しかし、脳科学や心理学の研究で、
外発的動機づけの弊害が明らかになってきました。
その研究を人事に生かしたのが「ノーレイティング」なわけですが、
長くなりましたので、今回はここまでにしたいと思います。
次回は、「外発的動機づけの弊害」をお伝えしたいと思います。