こんにちは。生きがいラボの福留です。
最近、「これからの時代に、人事制度はどうあるべきでしょうか」というご質問をいただくことが増えてきました。
変化の激しい時代を迎えて、これまで当たり前だった仕組みに、なんとなく違和感を覚えている経営者さんが増えているのかもしれません。
今日は、時代の流れと人事制度のあり方について、私なりに感じていることをお伝えしたいと思います。
目次
「正解を示す」やり方が、もう合わなくなってきた
これまでの人事制度の多くは、会社が「何をすれば評価されるか」という正解を決めて、社員さんに示すかたちで設計されてきました。
等級を定め、評価項目を細かくし、その達成度で給与を決めていく。たしかに、未来がある程度予測できた時代には、それなりに機能していたのだと思います。
でも、これだけ変化が激しく、先の読めない時代になると、会社の側が「正解」を持っていること自体が難しくなってきました。
正解がはっきりしない時代に、「正解への到達度」で人を測ろうとすると、どうしても無理が生まれます。
それに、正解が見えない時代だからこそ、新しいことに挑戦する情熱が何より大切になります。けれども、やるべきことを会社が示す仕組みのなかにいると、社員さんはどうしても受け身になり、その情熱が少しずつ失われていきます。
そうして、人は安全策ばかりを選び、挑戦から遠ざかってしまう。
これは社員さんの意識の問題ではなく、制度の構造が生み出している行動だと、私は感じています。
時代が「自律分散型の組織」を求めている
そんななかで注目されているのが、ティール組織に代表される自律分散型の組織です。
組織を、管理して動かす「機械」としてではなく、自ら変化し続ける「生命体」として捉える。一人ひとりが自分で考えて動くことで、変化にしなやかに対応していく。そんな組織のあり方です。
私がこの考え方に強く共感するのは、その根っこに「人を信頼する」という人間観があるからです。
人は、見張られることで動くのではなく、信頼されることで力を発揮する。アメとムチで人をコントロールできるという前提を手放したとき、組織はもっと豊かになれるのではないか。そんな希望を感じています。
ティール組織にしたとき、給与と評価はどうする?
ただ、ここで多くの経営者さんが立ち止まります。
「自律分散はいい。でも、評価や給与はどうすればいいのか」と。
組織のあり方を変えようとすると、最後に必ず「人事制度」という壁にぶつかります。点数をつけてランクづけする従来の評価制度は、自律分散の考え方とどうしても噛み合わないからです。
上から点数をつける構造を残したまま「自律してほしい」とお願いしても、それは少し矛盾しています。一人ひとりの自律を願うのなら、人事制度そのものも、それにふさわしいかたちへ変えていく必要があると思います。
給与決定を自律分散に近づけると自己申告型給与制度になる
そこで私が提唱しているのが「自己申告型給与制度」という取り組みです。
社員さんが、自分の貢献・給与額・働き方を自分で考えて申告し、会社と対話しながら決めていく。給与を「過去への対価」ではなく「未来への投資」と位置づけ、評価する側・される側ではなく、お互いを尊重するパートナーとして向き合っていく仕組みです。
「給与まで自分で? 社員さんがワガママを言い出すのでは」と心配されるかもしれません。そのお気持ちはすごく分かります。ただ、私の経験では、自分で決める責任を引き受けたとき、人はむしろ誠実になります。陰で不満を言う必要がなくなり、対話のテーブルで本音を交わせるようになるのです。
もちろん、いきなりすべてを変える必要はありません。会社の状況に合わせて、無理のないところから取り組んでいくことが大切だと思います。
おわりに
これからの時代に求められる人事制度とは、社員さんを点数で測る仕組みではなく、社員さんと経営者さんが、未来を一緒に語り合える仕組みなのではないか、と私は考えています。
時代が自律分散型の組織を求め、その組織には自己申告型給与制度がよく馴染む。それは偶然ではなく、どちらも「人を信頼する」という同じ土台の上にあるからだと感じています。
評価から対話へ、コントロールから信頼へ。その転換の先に、一人ひとりが生きがいを感じられる組織が増えていけば、これほど嬉しいことはありません。
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