給与制度構築の方針Ⅰ
- カテゴリ:自己申告型給与制度
今回も引き続き、『給与制度』についての私の考えを発信していきたいと思います。
前回までの内容としては、
☆ 理想の給与制度など「ない」「ありえない」
☆ 給与についての不満は決してなくならず、どんなに制度を工夫しても、全社員が満足することなどない
という私の見解と、その理由について申し上げました。今回は、給与制度を構築する基本方針をお伝えしたいと思います。
※前回のブログはコチラ「給与への不満の原因Ⅱ」
私が考える、給与制度を構築するときの基本方針は3つあります。
まず1つ目の方針は、『不満の解消を目指さない』です。
これまで述べてきた通り、給与への不満はなくなりません。
なくなることのない不満を、いくら解消しようとしたところで、それは不毛な努力に終わるだけです。
それならば、「不満を解消しない」と割り切ってしまうことが、給与制度を構築するときには大切になるのです。
しかし、これにはかなりの勇気が必要となります。
人事に携わる方でしたらご経験があるかと思いますが、社員アンケートをとると給与への不満はかなり大きいですから、人事担当者としては、まずは給与への不満を解消するべきだと思ってしまうのです。
そのような状況のなかで、
「今回の制度改定は、不満を解消するためではありません」
と宣言すると、大反発が起こるような恐怖感を覚えます。
確かに反発は起きるでしょうが、給与水準が地域や業界の相場と比べて大幅に低くないのであれば、不満の「真因」は給与制度ではありません。
したがって、もし仮に、給与への不満の声に対応した給与制度に改定したとすれば、その改定によって更なる不満が生まれるという悪循環に陥ります。
誤解のないようにしておきたいのですが、私が言いたいのは、不満を切り捨てるということではありません。
誰しも、不満などは言いたくないものです。
それでも不満を口にするということは、心のなかに、悲しみ・怒り・不安などが渦巻いているはずです。
その心の奥底に耳を傾け、共感し、ともに乗り越えていこうとする姿勢を持つことが何よりも大切です。
私が言いたいのは、不満を解消しようとする給与制度を構築しても、その解決にはつながらないということです。
不満を口にする人の心にある、悲しみ・怒り・不安などは、不満解消を目指して構築した給与制度では消えることはありません。
せっかくの人事担当者の努力も無駄に終わるのです。
だから、不満の声を理解し共感しつつも、勇気をもって、不満の解消ではない道を選ぶことが必要となります。
次回も、給与制度を構築するときの方針について述べていきます。