「No Rating(ノーレイティング)」は組織活性化の特効薬か?
- カテゴリ:ノーレイティング(No Rating)
いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。
前回・前々回で、
No Rating(ノーレイティング)についての代表的な3つの誤解のうち、
2つ目までご紹介しました。
① No Rating(ノーレイティング)では、人事評価がない
② No Rating(ノーレイティング)で、マネジャー(上司)の負担が軽くなる
③ No Rating(ノーレイティング)を導入しないと時代に乗り遅れる
今回は、3番目について解説をしていきたいと思います。
※前々回のブログはコチラ「「No Rating(ノーレイティング)」に対する誤解」
※前回のブログはコチラ「No Rating(ノーレイティング)でのマネジャーの役割」
■組織が成長・発展するための特効薬などない
海外企業での導入が話題となり、
組織のパフォーマンス・マネジメントを革新する手法の一つとして、
日本でも「No Rating(ノーレイティング)」が注目されるようになりました。
特に、GEが9ブロックを廃止したということは、
人事業界ではかなりインパクトのあるニュースだったかと思います。
こういう新しい経営手法は、海外からの輸入が多いのですが、
紹介される論調としては、
「海外ではこんなことをやっている!」
「日本企業は遅れている!古い!」
という主張になっていることが多いように見受けられます。
ひと昔前に流行した「成果主義人事制度」はこの代表例と言えますが、
現在では、No Rating(ノーレイティング)が、
まるで組織活性化の特効薬のように語られることがあります。
それぞれの組織によって課題が違うので、
どの組織にも効く特効薬などあり得るはずがないわけですが、
新しい手法が出ると「カタチ」だけマネする企業が出てきます。
私の個人的な見解は、
日本企業もNo Rating(ノーレイティング)を検討する価値があると考えています。
しかし、No Ratingが生み出す変化の核にあるのは、手法の変化ではなく、
組織観・人間観などの「哲学」の変革ですので、
カタチだけ取り入れてもうまくいかないでしょう。
私が大切だと考えることは、
No Ratingを導入するかどうかを検討するプロセスのなかで、
「わが社のありたい姿は?」
「組織と社員のつくりたい関係性は?」
「人間の本質とは何なのか?」
「どのような社会をつくっていきたいのか?」
という『問い』と真剣に向き合うことだと思います。
経営陣やマネジャー層がこれらの「問い」に真剣に向き合うと、
仮に No Ratingの仕組みそのものを導入しなかったとしても、
組織運営のスタイルが変わっていくはずです。
私が、No Rating(ノーレイティング)をお勧めしているのは、このためです。
現在のNo Rating(ノーレイティング)への注目が、
単なる「テクニックの模倣」に終わらないことを願っていますし、
これからも本質に関わる情報を発信していきたいと思います。