組織からの精神的独立で「エンゲージメント」が高まる
- カテゴリ:企業経営
前回の投稿では、一人ひとりが所属する組織から「精神的に独立」することが、
これからの社会では求められるということを書きました。
あまりにも長くなるので前回では書かなかったのですが、
「精神的に独立」することと、組織への「エンゲージメント」がなくなることとは、
まったくの別物です。
私が思うに、逆に組織から精神的に独立した方が、エンゲージメントは高まります。
※前回のブログはコチラ「これからの管理職に求められる最大の変革とは?」
■「うまくいく夫婦」と「うまくいく会社」の共通点
「エンゲージメント」は日本語に訳しにくい言葉ですのでそのまま使いますが、
エンゲージリング(婚約指輪)の「エンゲージ」のイメージでよいかと思います。
つまり、「お互いを大切な存在として認めて誓い合っている」ようなイメージです。
私は、お客さまの会社の人事制度説明会で、
会社と社員さまの関係性を「夫婦関係」と同じだと伝えることがあります。
私が考える「うまくいく夫婦」とは、
相手に「自分を幸せにしてほしい」と願っているのではなく、
お互いが「相手を幸せにするにはどうしたらいいか」と考えている夫婦です。
会社と社員の関係も同じだと思います。
会社(経営者・管理職)は「社員を幸せにしたい」と考え、
社員は「会社に貢献するにはどうしたらいいか」と考えている。
そういう会社が「うまくいく会社」なのだと思いますし、
「エンゲージメント」とはそういう関係性のことを表わすのだと思います。
■「身内」だと思うから「甘え」が生まれる
組織から精神的に独立するとは、
組織のなかに居ながらも、組織と自分を別々の存在として認識するということです。
もっと分かりやすく言えば、
「自分の思い通りにはならない」と認識するということです。
人間というのは、自分の「身内」だと認識した対象には、
「自分の思い通りになってほしい」という「甘え」が生じるものです。
その「甘え」が、思い通りにならないときに「不満」に転化します。
会社(経営者・管理職)は、社員が思い通りに動かなければ不満に思い、
社員は、会社が自分の都合よく動かないことで不満を言う。
状況によって原因はいろいろあると思いますが、
相手への「甘え」が根本にあることで不満は生まれるのだと思います。
■組織から精神的に独立すると生まれる意識
組織から精神的に独立すると、
その組織と関わっていること自体が「自分の選択」だと気づきます。
その組織と関わらない(=会社を辞める)という選択もあることに気づきます。
その「自分が選択した」という意識が、
「なぜ自分はこの組織を選んでいるのだろう」という問いにつながります。
いろいろ不満な点があるとしても、その組織にいるということは、
何か得ているモノがあるからに違いありません。
自分が組織から「得ているモノ」に気づくことが、
組織への「感謝」となり、組織に貢献しようという意欲につながります。
それが、エンゲージメントの出発点だと思います。
組織開発の世界では、企業業績とエンゲージメントの相関性の高さから、
「業績向上のためにエンゲージメントを高めよう」と言われることが多いのですが、
私には、「世帯収入を増やすために夫婦円満が大切」と言っている夫婦のようで、
何か違和感を覚えます。
組織と個人の関係性は、企業業績とはまったくの別物で、
「つくりたい社会像・組織像」から発想するテーマだと思うのです。