社員さんの情熱が高まる人事制度のあり方とは?
- カテゴリ:ノーレイティング(No Rating)
いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。
年齢層の高い方々から「最近の若い社員はガツガツしたところがない」という言葉を聞くことがありますが、多くの場合はネガティブな意味で使っているかと思います。
たしかに、日本全体がギラギラと燃えていた時代はあったと思いますし、その時代を経験している方々がご自分の若い頃を思い出すと、今の若い社員さんのエネルギーが低いように見えても仕方ないかもしれません。
ただ、それは社会環境が違うということは、前にもお伝えさせていただきました。
近年では、SDGsの認知がかなり高まっていますが、SDGsに代表される意識の変化、たとえばエシカル消費やESG投資などのように、金銭的な利益よりも「社会に貢献できるか」を行動のモノサシにしている人が増えています。
私はこの変化を前向きに捉えていて、今回はこの変化を踏まえて人事制度のあるべき姿を考えてみたいと思います。
※前回の記事「管理職を人事評価から解放する取り組み」
企業の利益獲得に共感しない人が増えた
これまで数回にわたって次の9つの変化によって、人事制度がどう変わるかを考えてきましたが、今回は最後の9番目になります。
① 金銭的報酬によるインセンティブが困難になる
② 職業人生が長期化する
③ 不安を抱える若年層が増える
④ 仕事とプライベートの境界がなくなる
⑤ 企業の内部と外部の境界がなくなる
⑥ 高度な専門技能と、専門分野以外での人的ネットワークが必要となる
⑦ 権力によるリーダーシップが成果を生まなくなる
⑧ 多様性を積極的に受容する必要性が高まる
⑨ 短期的な利益よりも社会貢献や持続可能性を重視する傾向が強まる
上でも述べましたが、私は9番目の変化は好ましい変化だと考えています。
これまでは、企業の短期的利益のために、社会全体の利益、たとえば環境や人権などが損なわれることも多々ありました。
そういう歴史を見て、企業の短期的利益を獲得する行動に対して共感できない人が増えるのは、当然のことと言えると思います。
冒頭に述べた「ガツガツしたところがない」というのは、企業の利益獲得に共感していないことも1つの要因だと思います。
画一的な評価項目・目標項目をやめる
この変化への対応として、人事制度においてすぐに取り組めることでいうと、評価項目や目標項目を会社で指定した画一的なものにするのではなく、社員さんが自分で考えた項目を取り入れることです。
それに加えて、企業の業績に関する情報を限りなくオープンにして、賞与を利益の再分配という位置づけにすることです。
情報をオープンにすることに関しては、なかなか一歩が踏み出せない経営者さんもいらっしゃいます。
業績や財務状況に関する情報は、経営者さんの過去の意思決定の集積であり、説明が苦しい部分があることも分かります。
しかし、説明しづらいからという理由で公開しないのであれば、社員さんに自主性や主体性を期待することはあきらめなければなりません。
次に、賞与を利益の再分配と位置づけることも大切です。
社員さんのモチベーション維持を名目に、利益のない期も賞与を支給する企業も多いかと思いますが、長い目で見ると企業と社員さんの双方のためではないと私は思います。
喜びも苦しみも分かち合える仕組みがなければ、お互いを信頼したパートナーにはなれません。
自社の企業活動を通して社会に貢献し、かつ自分たちも豊かな人生を歩めるような自社のあり方を全員で考えていくためには、必要不可欠なことだと私は思います。
そしてそれが、社員さんの情熱が高まることになるのだと思います。
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