• ティール組織(自律分散型組織)

ティール組織に学ぶ情報の透明性のあり方

シェアする

こんにちは。生きがいラボの福留です。


私は、経営者さんと社員さんの双方にとって組織が「生きがいを見つけられる場」になるようなお手伝いをしたいと思っていて、ティール組織や自律分散型組織にその可能性を感じています。


上下関係で指示命令をするよりも、社員さんと経営者さんがパートナーとして未来を語り合う組織の方が「生きがい」を感じやすいと思いますし、その関係性を支える土台のひとつが「情報の透明化」だと考えています。


従来の組織では、情報共有はトップダウンで行われることが多く、情報へのアクセスも制限されている場合があります。

上層部が情報を管理し、必要に応じて社員さんに伝えるという形式が一般的です。


しかし、ティール組織(自律分散型組織)では、情報は組織全体で共有されるべきものと考えられています。


すべての社員さんが、組織のあらゆる情報にアクセスできることが理想です。

これにより、社員さんは自律的に判断し、行動できるようになります。


従来の組織では、情報共有は業務効率化のための一手段として捉えられることが多いですが、ティール組織(自律分散型組織)においては、組織を運営するにあたってすべてのメンバーに情報が透明になっていることは当然だと考えます。


従来の組織とティール組織の情報共有の違いをまとめると、以下のようになります。

■従来の組織: トップダウンの情報伝達、情報へのアクセス制限

■ティール組織: 全員への情報透明化、情報への自由なアクセス

このように、ティール組織における情報の透明化は、従来の組織とは根本的に異なる価値観に基づいています。


ここでは、ティール組織(自律分散型組織)における情報の透明化について、私の考えをお伝えしたいと思います。

関連記事
ティール組織とは?特徴・メリット・デメリット・事例をわかりやすく解説

情報の透明化が前提になる理由

ティール組織(自律分散型組織)では、「意志を持っている人が意思決定する」という環境をつくる必要があります。


そのような環境をつくる時に、「誰でも必要な情報にアクセスできる」ことが大切になります。


社員さんが自分で判断して動くためには、知りたい情報を知ることができない環境だと、適切な意思決定にならないからです。

あるいはそもそも、情報がなければ「〇〇を改善したい」や「こんなことを新しく始めたい」などの「意志」が生まれてこないものです。


やはり、人が創造性や主体性を発揮するには、情報が大切な要素になると思います。

情報の透明化は信頼関係を生む

私の経験では、情報の透明性の度合いは、社員さんへの信頼度に比例します。


社員さんを信頼していないと、なかなか情報は共有できないものですが、私は実は順番が逆だと感じています。

つまり、情報の透明性は「信頼の結果」ではなく「信頼を生む環境づくり」だと思うのです。


情報を透明にするから、組織が置かれている状況を正しく理解することができますし、変な誤解が生まれなくなります。

そして、お互いを信頼する関係性が育っていくのだと思います。


そう考えると、「まず情報を透明にする」ということが大切になります。

そうすると自然に対話が生まれて、そこから信頼が育ってきます。

自己申告型給与制度でも、対話の中心にあるのはお互いを信頼する気持ちです。


そのためには、やはり情報を透明にしておくことが欠かせないと感じています。

情報の透明化でつまずきやすいところ

ティール組織における情報の透明化は重要ですが、その過程で様々な要因が情報の透明化を阻害することがあります。

ここでは、情報の透明化を阻害する主な要因と、それぞれの解決策について解説します。



■情報過多による混乱

情報の透明化に取り組むときに、一番悩むのが「どこまで情報共有すればいいか?」ということだと思います。

「なんでも情報共有すればいい」と思ってやってみると、逆に情報が多すぎて混乱を招くことがあります。

情報の透明性を高めるときのポイントは、「知りたい人が情報にアクセスできる環境をつくる」ことです。

全員がすべての情報を知る必要はありません。

知りたい人が、知りたい情報にアクセスできる環境があれば大丈夫です。

そういうコンセプトでSlackなどの情報システムを活用していけばよいと思います。

情報過多による混乱を避けるためには、以下の対策が有効です。


1.情報の整理と分類: 組織内で共有される情報を、あらかじめ整理し、カテゴリー別に分類します。これにより、メンバーは必要な情報を迅速に見つけられるようになります。

2.検索機能の強化: 情報共有ツールやプラットフォームの検索機能を強化し、キーワード検索や高度な検索オプションを利用できるようにします。これにより、必要な情報をより効率的に検索できます。

3.情報発信ルールの策定: 情報発信のルールを明確にし、不要な情報の発信を抑制します。情報の質を担保し、本当に必要な情報が確実に伝わるようにします。



■コミュニケーション不足

コミュニケーション不足は、情報の透明化を阻害するもう一つの大きな要因です。

特に、対面でのコミュニケーションが減少し、オンラインでのやり取りが増える中で、誤解が生じやすくなったり、情報伝達が遅れたりする可能性があります。

コミュニケーション不足を解消するためには、以下の対策が有効です。


1.多様なコミュニケーション手段の活用: テキストチャット、ビデオ会議、社内SNSなど、多様なコミュニケーション手段を積極的に活用します。目的に応じて最適な手段を選択することで、情報共有の効率を高めます。

2.定期的な対話の機会の創出: 定期的なチームミーティングや、1on1ミーティングなどを実施し、メンバー同士が気軽に意見交換できる機会を設けます。これにより、相互理解を深め、コミュニケーション不足を解消します。

3.フィードバック文化の醸成: 積極的にフィードバックを交換し、互いの情報交換を深める文化を醸成します。建設的なフィードバックは、コミュニケーションの質を向上させ、組織全体の成長を促進します。



■属人化された情報

属人化された情報は、特定のメンバーしか内容を知らず、他のメンバーがアクセスできない情報のことです。

これは組織全体の知識やノウハウの共有を妨げ、業務の効率を低下させる原因となります。

属人化された情報を解消するためには、以下の対策が有効です。


1.情報の可視化: 属人化している情報を可視化し、誰もがアクセスできるようにします。例えば、業務マニュアルやFAQを作成し、社内Wikiなどで公開します。

2.情報共有の促進: 定期的に情報共有会を開催したり、成功事例やノウハウを共有する機会を設けたりします。これにより、知識や経験の共有を促進し、属人化を解消します。

3.担当者の複数化: 担当者が不在の場合でも、他のメンバーが対応できるように、これまで一人で担当していた業務を複数名で担当するようにして、その情報を共有します。これにより、業務の停滞を防ぎ、組織全体の対応力を高めます。

ティール組織での情報の透明化の事例

オランダ発祥の訪問看護組織であるBuurtzorg(ビュートゾルフ)は、ティール組織の代表的な成功事例として知られています。


Buurtzorgでは、看護師が少人数のチームを組み、地域住民のケアにあたります。


その最大の特徴は、看護師一人ひとりが自律的に判断し、行動できる環境が整っていることです。

情報共有は、この自律性を支える重要な要素となっています。


Buurtzorgでは、すべての看護師が患者の情報を共有できる、独自のITプラットフォームを活用しています。


このプラットフォームを通じて、患者の病状や治療方針、ケアに関する情報をリアルタイムで共有し、チーム全体で患者をサポートしています。

また、看護師は、このプラットフォームを通じて、他のチームの看護師と情報交換したり、専門家のアドバイスを求めることもできます。


このプラットフォームは、情報共有を促進するだけでなく、看護師の負担軽減にも貢献しています。

まとめ

情報の透明化は、効率化のための道具ではありません

社員さんと経営者さんがパートナーになるための環境づくりだと私は思っています。


情報を透明にすることで対話が生まれ、対話が未来をつくっていきます。

情報を透明にすることは、社員さん一人ひとりの自己決定を尊重することにつながります。


その積み重ねが、生きがいを感じやすい組織づくりの土壌になるんじゃないかな、と私は考えています。

◆◆ご質問やご相談は下記のページから◆◆
  ★お問い合わせページ → https://ikigai-lab.jp/contact/