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ティール組織とは?特徴・メリット・デメリット・事例をわかりやすく解説

  • カテゴリ:ティール組織(自律分散型組織)

現代のビジネス環境において、組織のあり方は常に進化を続けています。従来のピラミッド型組織に代わる新しい組織形態として注目されているのが「ティール組織」です。自己組織化や自律性を重視するティール組織は、フラットな構造とメンバーの自主性を特徴とし、従来の組織では得られない高いパフォーマンスや創造性を生み出す可能性を秘めています。本記事では、ティール組織の概念、特徴、メリット、デメリット、具体的な事例などをわかりやすく解説することで、ティール組織が持つ可能性と課題について詳しく探ります。

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ティール組織とは?その特徴と意味を解説

 

「ティール組織」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか?近年、従来の組織形態に変わる新しい組織モデルとして注目を集めているのが、このティール組織です。ティール組織は、組織のあり方を根本的に問い直し、一人ひとりの能力を最大限に引き出し、組織全体の成長につなげることを目指す革新的な概念です。従来の管理偏重型の組織運営とは大きく異なる特徴を持ち、組織文化やマネジメント手法にも独自の考え方を取り入れています。では、ティール組織とは具体的にどのような組織なのでしょうか?本章では、ティール組織の定義、特徴、そしてその意味について詳しく解説していきます。

ティール組織の概念は、フレデリック・ラルー氏が提唱した「組織進化の5段階モデル」に基づいています。このモデルは、組織の進化を以下の5つの段階に分類しています。

「レッド組織」: 権力と支配の象徴

「レッド組織」は、リーダーが絶対的な権力を持つ、権威主義的な組織です。このタイプの組織では、命令と服従が重視され、メンバーはリーダーの指示に従うことを期待されます。リーダーは、自分の権力を維持するために、恐怖や罰を用いることもあります。この組織は、迅速な意思決定と行動を可能にする一方で、メンバーの創造性や自主性を阻害する可能性があります。

「アンバー組織」: 伝統と安定の守り手

「アンバー組織」は伝統や規律を重視する、階層型の組織です。このタイプの組織では、明確な役割分担と権限が確立されており、メンバーは自分の役割を理解し、それに従うことが期待されます。組織の規則や慣習は厳格に守られ、変化に対しては抵抗を感じる傾向があります。この組織は、安定性と秩序を維持する一方で、新しいアイデアや変化に適応する能力が低い可能性があります。

「オレンジ組織」: 成果と効率の追求

「オレンジ組織」は成果や効率を重視する、競争志向型の組織です。このタイプの組織では、メンバーは目標達成のために努力し、成果に基づいて評価されます。競争は奨励され、メンバーは常に自分のパフォーマンスを向上させようと努力します。この組織は、高い成果を上げることができる一方で、メンバーのストレスや燃え尽き症候群を引き起こす可能性があります。

「グリーン組織」: 協調と成長を重視

「グリーン組織」は人材の成長や協調を重視する、ボトムアップによる共感型の組織です。このタイプの組織では、メンバーは自分の能力を開発し、組織に貢献することを奨励されます。コミュニケーションはオープンかつ透明であり、メンバーの意見は尊重されます。この組織は、メンバーのエンゲージメントとモチベーションを高める一方で、意思決定に時間がかかる可能性があります。

「ティール組織」: 自己組織化と進化の歩み

「ティール組織」は自己組織化や目的志向を重視する、進化型の組織です。このタイプの組織では、メンバーは自分たちの仕事と責任を自分で決めることができます。組織の目的は共有され、メンバーは自分の仕事が組織全体の目標にどのように貢献するかを理解しています。この組織は、メンバーの創造性と自主性を最大限に引き出す一方で、組織全体の目標を達成するための明確な道筋が見えづらくなる可能性もあります。

組織はそれぞれの段階で特徴的な文化や構造を持ち、段階を進むことでより複雑で高度な組織へと進化していくのです。

ティール組織は、このモデルにおける最も進化した段階であり、「自己組織化」と「自律性」を特徴としています。具体的には、組織の目的達成のために、メンバーが自発的に行動し、責任を持つことを重視します。メンバーは、自分の能力や才能を生かし、組織全体の成功に貢献することを期待されます。

ティール組織では、従来のピラミッド型組織のように、トップダウン型の指示や命令はあまりありません。メンバーは、自分たちの専門知識や経験を生かし、チームで協力しながら、組織の目的達成に貢献していきます。そのため、メンバーは常に学び続け、成長し続けることが求められます。また、組織全体として柔軟性と適応力を持つことが重要となります。

ティール組織は、従来の組織形態とは異なる独自の考え方と仕組みを持つ組織モデルです。次の章では、ティール組織の特徴をさらに詳しく解説し、その特徴がどのようなメリットとデメリットをもたらすのかについても詳しく探っていきます。

 

ティール組織の3つの要素

 

ティール組織は、従来のピラミッド型の組織構造とは異なる、自律的で進化的な組織形態です。その特徴は、3つの要素になります。

セルフマネジメント

ティール組織では、トップダウンによるコントロールは行われません。メンバー一人ひとりに大きな裁量が任せられ、自分で考えて意思決定することが可能となります。そのために大切なことは、「情報の透明性」と「助言プロセス」です。「情報の透明性」がなければ、メンバーは自分で意思決定することができません。また、メンバーが適切に意思決定することをサポートするための仕組みが必要で、その仕組みが「助言プロセス」と呼ばれるものです。

ホールネス

ホールネスとは、単なる幸福感や充実感を超えた「全体性」「心身一体の統合」「完全性」「調和」を意味する概念です。職場において、本当の自分を偽る「仮面」を被る必要がなく、「ありのままの自分」でいられることを意味します。そのためには、それぞれの違いを尊重する文化が大切になります。

エボリューショナリーパーパス

エボリューショナリーパーパスとは、組織の成長と進化を促す、より大きな目的や意味を見出すことを指します。単なる仕事や役割を超え、組織の活動をより深く意義あるものにするための「組織の存在目的」と言えます。エボリューショナリーパーパスを明確にしようとするプロセスのなかで、メンバーが組織活動に心から共感できるようになり、困難な状況にも立ち向かう力を与えてくれます。

 

ティール組織のメリットとデメリットを解説

 

ティール組織は革新的な組織モデルとして注目を集めていますが、従来の組織形態とは異なる特徴を持つため、導入にあたりメリットとデメリットを理解しておくことが重要です。本章では、ティール組織のメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。

ティール組織のメリットとデメリット

ティール組織の大きなメリットは、メンバーのモチベーション向上とイノベーションの促進にあります。メンバーが自発的に行動し、責任を持つことで、高いエンゲージメントと創造性を発揮できるようになります。また、組織全体として柔軟性と適応力を高め、変化の激しい時代に対応できるようになります。さらに、従来のピラミッド型組織では見られなかったような、フラットでオープンなコミュニケーションが促進され、メンバー間の連携が強化されることも大きなメリットと言えるでしょう。

一方で、ティール組織にはいくつかのデメリットも存在します。まず、メンバーの自律性と責任を重視するため、従来の管理監督型の組織に慣れているメンバーにとっては、戸惑いや不安を感じる可能性があります。また、組織全体としてルールや規律が曖昧になりがちで、責任の所在が不明確になる場合もあるでしょう。さらに、組織の目的達成のためには、一人ひとりが高いレベルの自律性と責任感を持つ必要があり、組織全体で育成とサポート体制を構築することが重要となります。

ティール組織は、従来の組織形態とは異なる文化や仕組みを必要とするため、導入には自社の課題を明確にして取り組むことが必要です。次の章では、ティール組織を目指すためのポイントについて詳しく説明し、具体的な事例を紹介することで、より深くティール組織について理解することを目指します。

 

ティール組織を目指すためのポイント

 

ティール組織は従来の組織形態とは異なる、独自の要素を持つことで、メンバーの自律性と創造性を最大限に引き出し、革新的な成果を生み出すことを目指しています。本章では、ティール組織を目指すためのポイントを4つに分け、それぞれについて詳しく解説していきます。

1. 自律性と目的意識

ティール組織において最も重要なポイントの1つは、メンバーの自律性と目的意識です。メンバーは自分の仕事内容や進め方を自由に決め、組織全体の目的達成に貢献できるよう、自発的に行動します。そのため、従来の組織のように、上司からの指示待ちや細かいルールに縛られることはありません。メンバーは組織全体の目的を理解し、その達成に向けて主体的に行動することで、高いモチベーションとエンゲージメントを維持することができます。そのためには、メンバーが組織の目的達成に向かって自律性を発揮できるような組織構造が必要不可欠となります。

2. ホラクラシーと自己組織化

ティール組織では、ホラクラシーと呼ばれる組織構造を採用しているケースが多いです。これは、従来の階層型組織とは異なり、役割や権限が明確に定義された「サークル」と呼ばれるチームによって構成され、それぞれが自律して活動する仕組みです。メンバーは複数のサークルに所属し、それぞれのサークルでリーダーシップを発揮することで、組織全体に貢献することができます。また、自己組織化を促進することで、メンバーが自身の能力や興味関心に基づいた仕事を選択し、能力を最大限に発揮できる環境を実現します。このように、ティール組織では、自己組織化が可能な組織構造に変革する必要があります。

3. 透明性とオープンコミュニケーション

ティール組織では、情報共有とコミュニケーションを重視し、組織全体で透明性とオープンなコミュニケーションを促進します。メンバーは組織全体の情報を自由にアクセスでき、意見交換や議論を活発に行うことで、より良い意思決定や問題解決を実現します。また、情報共有によって、メンバー間の連携が強化され、組織全体の連携力が向上します。

4. 継続的な学習と成長

ティール組織は、メンバーの継続的な学習と成長を重視し、そのための環境を提供することも必要です。メンバーは常に新しい知識やスキルを習得することで、自身の能力を高め、組織への貢献度を高めることができます。また、組織全体で学びの文化を醸成することで、イノベーションを促進し、変化への適応力を高めます。

 

ティール組織の事例から学ぶ

 

本章では、ティール組織を導入した企業の事例を紹介し、その要因を分析することで、ティール組織導入の成功ポイントを探ります。

オンライン靴販売の「ザッポス」は、ティール組織の導入で有名な事例として知られています。同社は、従来の階層型組織から、メンバーの自律性と自己組織化を重視するティール組織へ移行しました。その過程では、従来の管理職を廃止し、意思決定権を社員一人ひとりに委譲することでエンゲージメントを高め、顧客志向のイノベーションを促進しました。さらに、透明性とオープンコミュニケーションを促進することで、組織全体の連携を強化し、顧客満足度の向上に繋げました。

同社がティール組織に挑戦した際には、さまざまな課題にも直面しました。そのエピソードの1つとして「ティール・オファー」があります。これは、ティール組織への移行に共感できない人は多額の退職金を手にして退職できるという、CEOのトニー・シェイから社員に向けて行われた提案のことです。このティール・オファーによって、18%もの社員がザッポスを離れました。しかし、CEOのトニー・シェイは、ザッポスの成長にはティール組織への移行は必要不可欠であり、すべての社員がティール組織の価値観に共感していることが大切だと考えたのです。言い方を変えると、ティール・オファーによって、ティール組織への移行を社員に強要しなかったと言えます。

ティール組織は、メンバーの自律性と創造性を最大限に引き出し、革新的な成果を生み出す可能性を秘めていますが、同時に導入によってさまざまな課題にも直面することでしょう。事例から学び、組織の状況に合わせて、適切な導入方法を選択することが重要です。

 

ティール組織の導入と課題:成功のためのポイント

 

まず、組織文化の変革が必要です。ティール組織では、メンバーの自律性と自己組織化を重視するため、従来のトップダウン型の組織文化から、ボトムアップ型の組織文化へと転換する必要があります。これは、メンバー一人ひとりが責任感と主体性を持ち、組織の目的達成に積極的に貢献することを求められることを意味します。そのため、メンバーがティール組織の価値観に共感することが不可欠です。

次に、適切なリーダーシップが必要です。ティール組織におけるリーダーには、従来の管理職のような役割は重要ではなく、メンバーの成長を支援し、組織全体の目的達成を導くリーダーシップが求められます。リーダーは、メンバーの能力を最大限に引き出し、自律的な行動を促すために、コーチングやファシリテーションのスキルを磨く必要があります。また、透明性とオープンコミュニケーションを重視し、メンバーとの信頼関係を築き、組織全体のエンゲージメントを高めることが重要です。

さらに、組織構造の設計も重要です。ティール組織では、柔軟性と迅速な意思決定を重視するため、従来の階層型組織構造を見直し、チームやプロジェクトごとに最適な組織構造を構築する必要があります。また、ホラクラシーなど、自律性と自己組織化を促進するフレームワークを導入することも有効です。ただし、組織構造はあくまでも手段であり、大切なのは、メンバーの能力を最大限に引き出し、組織全体の目的達成に貢献できるような、健全な組織文化を構築することです。

ティール組織を目指すことは、メンバーのモチベーション向上、イノベーション促進、組織全体の成長につながる可能性を秘めています。しかし、最も大切なことは、自分の組織が目指している組織のありたい姿と、ティール組織のパラダイムが合致していることです。どんな組織でも何かしらの問題が発生します。ティール組織を目指すことでも、さまざまな課題が浮き上がってくるはずです。課題に直面したときに、ティール組織を目指している「目的」が問われることになります。単に「流行っているから」という理由では、課題を乗り越えることは難しいでしょう。一方で、自組織の「ありたい姿」に向かっていることで起こる問題ならば、乗り越えるエネルギーも湧いてくるはずです。

 

ティール組織での人事制度

 

ティール組織においては、従来の人事制度とは異なる、柔軟性と自律性を重視した人事制度が求められます。1つの形態として、生きがいラボが取り組んでいる「自己申告型給与制度」があります。メンバーの自律性を尊重した組織において、給与に対してメンバーが意見を言えないというのは、あまりにもおかしな話です。ティール組織のパラダイムを人事制度に当てはめると、メンバーが自分の給与を申告するという形態になると思います。

 

まとめ

 

ティール組織は、自己組織化と自律性を重視する、進化した組織形態です。従来のピラミッド型組織とは異なり、メンバーの能力と創造性を最大限に引き出し、イノベーションを促進することを目指しています。特徴として、セルフマネジメント、ホールネス、エボリューショナリーパーパスがあり、組織文化の変革、適切なリーダーシップ、組織構造の設計が成功への鍵となります。

 

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