お客様の声

株式会社コンピュータ技研 代表取締役 松井佑介様

新しいチャレンジができる環境がこれからの組織に求められること

株式会社コンピュータ技研 
代表取締役 松井佑介様

お客様情報

社名
株式会社コンピュータ技研
事業内容
システムインテグレーション事業(ソフトウェア開発、インフラ構築)、ERP導入支援、スマホアプリ開発、中小企業DX支援、ソーシャルビジネス
所在地
大阪市都島区片町2-8-1 CTLゼロオンビル
社員数
130名
設立
1983年1月31日

1
導入のきっかけ 自己申告型給与制度の導入理由

福留: 生きがいラボに人事制度のコンサルティングをご依頼いただけたのは、松井さんが目指しているコンピュータ技研さんの未来と、自己申告型給与制度がマッチしていたからだと思うのですが、松井さんが「目指している会社像」や、当社にご依頼いただく前に感じていた「人事制度への課題」などについて聴かせていただけますか?

松井さん: 福留さんにご依頼する前は、どこにでもある一般的な人事制度を運用していました。
そもそも、ぼくがこの会社に入った頃は、かっちりとした人事制度というものがまったくなかったんですよ。ただ、人事制度がないことに対する社員の不満が大きかったんですね。
この会社に入る前に勤めていた会社には人事制度があって、それがあまりうまく機能していなかったんです。不満の温床になっていたというか。
そういう前職の会社の経験もあって、人事制度を導入することに前向きではなかったんですが、社員からの要請が強くて「うまくいかないだろう」と思いつつも、どこにでもあるような人事制度ですが、一応は導入してみたんですね。
でも、やっぱりうまくいきませんでした(笑)人事制度を導入した当初は、人事制度ができたことで喜ぶ社員もいましたが、次第にいろいろな不満の声が出てきたんですね。「公平に評価されてない」とか「なんであいつが・・・」というような(笑)
そういう声が出るのは分かっていましたから、「やっぱり始まったか」とずっと見守っていたんですが、これはウチの人事制度に課題があるというよりは、その辺によくあるような、評価項目があって「これをやったら評価しますよ」というような人事制度だと、制度をどんなに改善したところで状況は変わらないだろうと思っていたんです。
人事制度や給与制度があることで、メンバーの可能性を制限してしまっているとか、経営者と社員、マネジャーとメンバーの間に必要のない衝突を生んでいるように感じていましたが、人事制度をちょっとマイナーチェンジしたところで根本的には解決しないだろうから、人事制度を根本からガラッと変えて、経営者と社員の関係性や、経営者のあり方、社員のあり方を変えたいなー、と思っていたんです。

福留: そういう課題を感じつつ当社にご依頼いただけたと思うのですが、ご依頼いただく前には、いろいろな人事制度のコンサルティング会社さんを当たられたんですか?

松井さん: 生きがいラボさんにご依頼する前には、いろいろなコンサルティングの会社を当たりましたね。
思いとしては、どこかにあるような人事制度を少しだけ当社用にアレンジするということではなく、ウチが目指している組織像に共感してくれて、一緒にゼロから考えてくれる専門家を探していたんですが、まぁ、全然見つからなかったという感じですね。

福留: そういう専門家を探しておられるなかで、当社を見つけてくださって本当にありがとうございました。とはいえ、給与を社員さんが自己申告するというのは、けっこう変わった取り組みだと思うのですが、それに興味を持ってくださったのはどんなところですか?

松井さん: ぼくの価値観と合っていたということが大きいですね。
ウチは自己申告型給与制度を「オーナーシップ制度」という名前でやらせてもらってるんですが、そう名付けたのは自分の経験からきているんです。
ぼく自身が仕事やキャリアに責任を持てたり、イキイキと働けたりした時は、自分の仕事と人生に「オーナーシップ」を持った時だな、という感覚があったんですよね。
それって何かと思ったら、たとえば仕事内容で言うと、あるお客さんのところに行って交渉するか交渉しないかや、それに対する「評価」もしくは「報酬」についても「自分が決めるんや」と思った瞬間だったので、そういうことって(自分の会社で)できへんかなーと思った時に、社員が(評価や報酬に関して)自己決定できる環境があれば、成長の機会につながるんじゃないかなー、みたいなことを思い始めてたんだと思います。 もうだいぶ前のことなんで、よく覚えてませんけど(笑)

福留: けっこう前のことですもんね(笑)

2
導入の不安 自己申告型給与制度を導入する前の不安

福留: 給与を社員さんに自己申告してもらうことについて、不安とかはありませんでしたか?

松井さん: 不安はあったんですけど、その不安というのは、社内の反対する人たちにどう説明するのかという不安で、制度そのものについては、直感的ですけどいいものだと感じてました。なので、制度が回り始めると、反対していた人たちもプラス面も見てくれるようになるとは思ってました。
人件費が上がることも想定していたんですが、それが不安だったという役員もいましたね。でもそれ(人件費が上がること)は、ぼくのなかでは想定内でしたから。

福留: マネジャーさんが理解してくれるかは、不安ではなかったですか?

松井さん: 始める前は、どこまで理解してくれるかは正直よく分かりませんでしたが、福留さんからもマネジャーへのサポートをしてくれると聞いていたので、そこまで不安はなかったですね。
あと、若手のマネジャーや、これからマネジャーになってもらいたい若手メンバーたちは、この制度の良さを理解してくれるという予感はありました。実際に、この制度を立ち上げてから、前よりも活躍してくれるようになって、制度運用を推進してくれています。

福留: 制度をご導入いただく前に、人件費が上がることは私からも伝えていましたが、それについての不安はなかったですか?

松井さん: この制度を導入したいと思ったのが、頑張ってくれている若手社員の報酬をアップしたいということがありましたので、人件費が上がることは覚悟していました
フタを開けてみると、思っていたほど人件費も上がらなかったので、それは大丈夫でしたね。

福留: この自己申告型給与制度を導入する前の経営者さんのなかには、とんでもない申告が出てきたらどうしよう、もっと具体的に言うと、「仕事内容はそのままで倍の給料をくれ」みたいな申告が出てくるんじゃないかと不安に思う人もいらっしゃるのですが、その辺の不安はありましたか?

松井さん: その可能性はあるんだろうなーとは思っていましたが、福留さんから「実際にはそんな申告は思ったよりも出てこない」と聞いていましたし、そういう申告が出た時こそ「本音で対話するチャンス」だとも聞いていたので、そこまで不安には思ってはいませんでしたね。
導入が始まってから、実際には何人かはそういう申告もありましたが、それもその人としっかりと向き合う機会になっていますから、それが問題だとも思ってないですね。

3
導入の効果 自己申告型給与制度の導入効果

福留: 御社では、制度名を「オーナーシップ制度」と呼んでいたり、管理職を「SUN」や「MOON」という名称に変えたりされていますが、名称にこだわった思いをお聴かせください。

松井さん: 福留さんも導入時におっしゃってましたが、このオーナーシップ制度は、制度とは言うものの極めてシンプルだし、いい意味でルーズな仕組みだと思うので、運用によってどうとでもできる制度ですよね。
ただ、制度というのは、いったん出来上がってしまったら、放っておくとすぐ形骸化しちゃうと思いますし、運用によっては普通の人事制度と同じになっちゃうってことも起こると思ったんです。
なので、福留さんのご支援によって制度を導入したけども、どんどん独自性を出していって、自分たちのモノにしていく必要があると思っていたんです。
制度を自分たちのモノにするために、その象徴として、自分たちの思いがこもった制度名とか役割名にしていこうと思いました。

福留: 制度を導入してみて、どんな効果を実感しておられますか?

松井さん: 本当にたくさんありますね。 一番の狙いは「若手が元気になる」ということでしたので、それは本当にそうなっています。自分の給与を自己申告できるという環境ができたこともありますし、制度の運用に伴って、マネジャーに自分の意見を伝えたり、マネジャーの話を聴くという機会が増えたことも大きいと思います。若手は本当に元気になっています
加えて、こちらはジワジワなんですけど、福留さんがおっしゃってくれていたことですが、マネジャーが制度のコンセプトをしっかり理解してベテラン層にも関ってくれたことで、ベテラン層も「自分もこんなことにチャレンジしようかな」と言ってくれる人が出てきたり、そういう変化も少しずつ出てきています。ベテラン層にも新しいことへのチャレンジが出てきたことが2番目に見えてきた効果ですね。
他には、社員の考えていることが、個人個人もそうですし、全体として見えてきたのはありますね。ウチの会社全体として「今はこういうことを考えているんだな」というのが見えてきましたし、「あのレイヤーはこういうことを思っているのか」というのも以前よりも分かってきましたね。

福留: それは投資準備委員会(=社員さんの申告を受け付ける機関)のなかで感じたことですか?

松井さん: そうですね。投資準備委員会は、ぼくとマネジャー陣の価値観が共有されたり、マネジャーの成長の場になっていたり、時間はかかりますが大切な場になってますね。
他にも、分かりやすいところでは、採用広報にも効果が出ています。大手新聞社にも取り上げていただいたり、経済産業省近畿経済産業局の「BE THE LOVED COMPANY(愛される企業)」の調査企業にも選んでいただいたり、広報や採用にも大きな影響があって、オーナーシップ制度のような取り組みに共感いただける方が増えてくると、今まで接点のなかった方々とも繋がりが生まれてきている実感がありますね。

福留: 先ほど、少しだけ人件費の話も出ましたが、この制度を導入してからの人件費と業績について聴かせてください。

松井さん: 人件費は、想定内でしたが上がりました。それと同じ時期に、一人当たりの売上高もそれをカバーするぐらいに上がったので、結果的には人件費のアップはカバーできました。
売上高が上がったのは、いろいろな要素がありますのでなんとも言えませんが、マネジャーや社員たちが、この制度を通して自分の申告によって給料が上がったので、その分の成果を出そうというマインドに変わってくれたことは大きいですね。

福留: それは本当に大きな変化ですね。 自己申告型給与制度を導入してみて、予想していなかった問題などは出てきましたか?

松井さん: さきほどもお伝えした人件費が増えるのも想定していましたし、今のところは良い面しかないという感じですね。
うーん、あえて言うならですが、このオーナーシップ制度(自己申告型給与制度)を社員を採用する時にもアピールしているので、一部の若い社員のなかには、成長のレベルと申告してくれる給与額が合っていない、言い方は悪いですが、実力のわりに高い給与額の申告もあるので、そのメンバーと向き合うマネジャーたちが時間的にも精神的にも大変になるというのは、一部ですが起こっていますね。
ただ、それはマネジャーにとっても良い機会にもなっていると思っていて、とことん対話するきっかけにもなりますし、そのことでマネジャーも成長することができますから、プラスの面も大きいですね。

4
これからのこと これからの企業経営にとって大切なこと

福留: 松井さんはよく、自己申告型給与制度、御社でいうとオーナーシップ制度のような取り組みが広がっていくと、社会が変わるとおっしゃってくださるのですが、これからの社会における企業経営で大切なことは何だと思われますか?

松井さん: そうですね。本当にこの制度が広がると社会は変わると思いますね。
フリーランスとか、そういうこと(収入を自分で決められること)ができる働き方が増えていってると思うんですけど、全員が全員、フリーランスでやっていくだけのガッツがあるかというとそうじゃなかったり、あるいは、いろいろな事情で仕事にエネルギーを注げる環境ではなかったりすることもあると思うんですね。
ただ、働き方がフリーランス的になっていくのが時代の大きな流れだと思うので、我々コンピュータ技研はその中間をとっているんだ、ということを社内でも発信しています。
そういう意味で会社のあり方も変わっていくと思っていて、フリーランスじゃなくてもオーナーシップを持って働くことが大事ですし、じゃあオーナーシップを持って働くとはどういうことかというと、自分の能力とか強みとか専門性を生かして社会に貢献するということで。
そして、強みで繋がって貢献を最大化していく、一人では出来ないことをみんなで実現していく場として、会社というものの存在意義があると思いますし、その仕組みとしてオーナーシップ制度が機能したらいいなーと思っています。

福留: なるほど。他には、地方にも目を向けておられますよね?

松井さん: そうです。佐賀とか石垣とか。

福留: それも、松井さんが描くこれからの企業像に向かっての取り組みなんですか?

松井さん: そうですね。給与を自己申告する人事制度もそうですが、そういう取り組みによってイキイキと働ける環境をつくって、そういう企業があるということを発信したいと思っています。
それはロケーションでも同じで、働く場所は東京や大阪などの都市部だけじゃないんだというのは社内でも発信してて、地方にも中小企業が活躍できる可能性はたくさんあるので、そういうことを実感してほしいなと思っています。

福留: そういう新しい挑戦を後押しする土台として、オーナーシップ制度が機能するという感じでしょうか?

松井さん: そのとおりですね。新しいチャレンジができる環境をつくることが、これからの組織に求められることですし、それらができることがオーナーシップ制度、自己申告型給与制度の魅力ですね。

福留: 松井さんは、この制度をたくさんの会社に広めていきたいとおっしゃってくださっていて、本当にありがたいです。

松井さん: 本当にそう思ってます。この前にご紹介した会社さんは、尖った会社じゃないですか。もっと老舗企業のような、歴史がある分、そのせいで動きが重くなっているような会社にも、この制度が導入されたらいいなと思います。逆に、そういう会社こそ、この制度が必要なんじゃないかとも思います。

福留: この自己申告型給与制度に興味を持ってくださる経営者さんは、以前に比べると増えてきていると感じています。しかし一方で、興味を持ってくださる経営者さんのなかには、「良いと思うけどウチの会社では難しいかな・・・」とおっしゃる方も多いです。

松井さん: ぼくもいろんな人に勧めてますが、そういう声は多いですよね。覚悟を決めてやるだけの話だと思うのですが。。。
ぼくは実際にこの制度を運用しているので、それを発信していく。どんな効果があったのか、どんないいことがあったのか、とか。
そういう発信をすることで、ウチの会社を見た人が「コンピュータ技研さんはあの制度を活用してイキイキとした会社になったんだな」と思ってもらえたら、「ウチの会社でも取り組んでみるかな」となるかもしれないので。
この取り組みは、給与の決め方だけの話じゃないんだよ、というのも伝えたいですね。この制度が新しいチャレンジの起爆剤になって会社が変わっていく。それを伝えていきたいですね。

福留: ありがたい言葉をいただいて、感謝の気持ちでいっぱいです。長時間にわたってお話を聴かせていただきまして、誠にありがとうございました。