ティール組織にマッチする人事制度とは?等級・評価・給与の設計を実践から解説 | 【自己申告型給与制度設計運用|生きがいラボ】

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ティール組織にマッチする人事制度とは?等級・評価・給与の設計を実践から解説

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こんにちは。生きがいラボの福留です。

「ティール組織を目指したいのですが、人事制度はどうすればいいですか?」というご質問をいただくことが増えてきました。

先に、この記事の要点をお伝えします。ティール組織にマッチする人事制度を考えるには、従来の管理職さんに集中していた3つの権限(意思決定・指示命令・評価)が一人ひとりに分散する、という構造変化から出発する必要があります。そのうえで、等級・評価・給与という人事制度の3つの柱を、それぞれ「序列のための仕組み」から「対話のための仕組み」へ再設計していくことになります。

私は2010年から、給与を社員さん自身が申告する「自己申告型給与制度」を提唱し、その設計と運用のお手伝いをしてきました。この記事では、その実践から見えてきたことをもとに、ティール組織と人事制度の関係を整理したいと思います。

 

ティール組織とは(簡単におさらい)

 

ティール組織とは、フレデリック・ラルーさんが著書『ティール組織』で示した、上下関係による管理に頼らない、新しい組織のあり方です。

特徴は大きく3つあります。

■セルフマネジメント:一人ひとりが自分で判断して動く
■ホールネス:人が安心して自分らしさを発揮できる
■エボリューショナリーパーパス:組織を「機械」ではなく、進化し続ける「生命体」と捉える

ティール組織の全体像については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ティール組織とは?特徴・メリット・デメリット・事例をわかりやすく解説

この記事では、その先にある「では、人事制度はどうするのか」に絞って書いていきます。

 

従来型の人事制度は、なぜティール組織と噛み合わないのか

 

従来の人事制度は、管理職さんが持つ3つの権限を前提に設計されています。

■意思決定権:何をやるかを決める
■指示命令権:部下に仕事を割り振る
■評価権:部下の働きを点数づけし、給与に反映する

ティール組織のような自律分散型組織では、この3つの権限が一人ひとりの社員さんに分散していきます。

ここで矛盾が生まれます。権限は分散したのに、人事制度だけが「上が下を評価し、給与を決める」という集中型のまま残ってしまうのです。

上から点数をつける構造を残したまま「自律してほしい」とお願いしても、社員さんの視点は「評価者にどう見られるか」に向かいます。評価者の顔色をうかがう働き方は受け身の姿勢を助長し、受け身の姿勢は挑戦への情熱を失わせていきます。

だからこそ、ティール組織を目指すなら、人事制度そのものを権限の分散に合わせて再設計する必要があると私は考えています

従来型組織とティール組織の人事制度の違い:意思決定権・指示命令権・評価権の3つの権限が、管理職から一人ひとりの社員へ分散する図解

 

等級制度:序列のためではなく、対話の補助ツールへ

 

まず等級制度です。

ティール組織の本質から考えると、等級制度そのものを廃止するという選択肢があります。実際、私がお手伝いしている会社さんでも、等級や役職の廃止に踏み切ったところは少なくありません。

ただ、等級制度を残す場合でも、その意味づけが変わります。序列を決めるためではなく、社員さんと経営者さんが役割や責任を確認し合うための、対話の補助ツールになるのです。

「廃止か、存続か」という二択ではなく、「何のためにあるのか」を問い直すことが本質だと思います

 

人事評価:点数づけをやめ、成長のためのフィードバックへ

 

次に人事評価です。

ティール組織にマッチする方向性は、点数やランクづけをやめる「ノーレイティング」です。

「評価をやめたら、フィードバックもなくなるのですか?」と誤解されるかもしれませんが、逆です。点数づけをやめるからこそ、フィードバックが本来の役割を取り戻します。

点数をつけるための面談では、話題はどうしても過去に向かいます。ノーレイティングでは、過去を裁く時間が、未来を語り合う時間に変わります。フィードバックは「一方的な通知」ではなく「共に考えるきっかけ」になっていきます。

ティール組織での人事評価については、こちらでも詳しく書いています。
ティール組織での人事評価はどう変わるのか?

 

給与:決定権を分散すると「自己申告」にたどり着く

 

そして、多くの会社さんが最後まで悩むのが給与です。

意思決定の権限を一人ひとりに分散していくというティール組織の原理を、給与決定に当てはめると、どうなるでしょうか。

給与の決定プロセスに、本人が参画することになります。つまり、自己申告です。

私が提唱している自己申告型給与制度では、給与を「過去への対価」ではなく「未来への投資」と位置づけて、次の3つをコンセプトにしています。

■自己申告:何をすべきかを示すのは本人である
■未来志向:過去の清算ではなく、これからの貢献を語り合う
■総合判断:数値化できない貢献も含めて対話で決める

社員さんは、①どんな貢献をするのか、②それがどれぐらいの給与に見合うのか、③どんな働き方をしたいのか、の3点を会社に申告します。申告した額がそのまま通るのではなく、会社と納得できるまで対話を重ねて決めていきます。

 

実際の運用では何が起こるのか

 

制度のメカニズムが実際にどう働くのか、運用の場面をひとつご紹介します。

たとえば、初任給の高騰で「1年目の社員さんが2年目・3年目より高い給与になる」という逆転現象が、いま多くの会社さんで起きています。従来の制度では、会社が一律のベースアップで調整するしかありません。

自己申告型給与制度を導入しているある会社さんでは、来年度の新卒初任給を社内に情報提供して、あとはそれぞれの社員さんの判断に任せました。この1年で大きく成長した実感のある2年目の社員さんは、後輩の初任給を参考に自信を持って高い額を申告するでしょうし、成長の実感がまだ薄い社員さんは、初任給とあまり変わらない額を申告するかもしれません。

大切なのは、その申告に至るまでに一人ひとりの内省が生まれることです。会社が一律で調整すれば、この内省は生まれません。

導入企業さまの声は、インタビュー記事でも読んでいただけます。
木村石鹸工業株式会社
世界に0をONする株式会社(旧社名:株式会社コンピュータ技研)

情報の透明化が、この制度の土台になる

 自己申告と対話が機能するには、ティール組織のもうひとつの原則である「情報の透明化」が土台になります。

会社の業績やチームの状況が見えなければ、社員さんは自分の給与を考えようがないからです。業績などの組織情報は、限りなく100%に近い公開が望ましいと考えています。

一方で、一人ひとりの給与情報の公開については、私は慎重に進めるアプローチをとっています。組織情報と個人情報は、同じ「透明化」でも別のジャンルとして扱うべきだと感じているためです。

関連ページ
ティール組織に学ぶ情報の透明性のあり方

よくいただくご質問

ここで、ティール組織と人事制度についてよくいただくご質問に、簡潔にお答えします。

Q. ティール組織には管理職がいないのですか?

A. 誤解されがちですが、ティール組織にもリーダー的な存在は自然に生まれます。変わるのは、役割が地位や給与の高さと切り離されることです。管理職さんの役割の変化については別の記事で詳しく書いています。

管理職不要論から未来の管理職のあり方を探求する

Q. いきなり自己申告制にするのは不安です。段階的に進められますか?

A. いきなりすべてを変える必要はありません。何から始めるかは会社の状況によって異なりますので、その会社に合った進め方を一緒に考えていくことが大切だと思います。

Q. 社員がワガママな申告をしてくるのではないですか?

A. 私の経験では、自分で決める責任を引き受けたとき、人はむしろ誠実になります。納得できるまで対話するプロセスがあるため、地に足のついた申告になっていきます。

おわりに

ティール組織にマッチする人事制度とは、特別な最新手法のことではなく、「権限の分散」という原理を等級・評価・給与にまで一貫させた制度のことだと私は考えています。

等級は序列から対話の道具へ。評価は点数づけからフィードバックへ。給与は会社の決定から自己申告と対話へ。

その一貫性の先に、社員さんと経営者さんがパートナーとして未来を語り合える組織が生まれてくると感じています。そんな組織が増えていくことが、私の願いです。

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