目標管理制度における「評価」のあり方
- カテゴリ:ノーレイティング(No Rating)
いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。
前回は、目標管理制度における目標達成率が給与と連動することによって、目標管理の意義が失われることが問題だとお伝えしました。
その一方で、ノーレイティング型人事制度では、評価結果が給与に連動しませんから評価する必要もないのですが、給与への連動とは異なる2つの目的で評価は行っています。
① 社員さんと企業のビジョンを共有するため
② 社員さんの成長をサポートするため
1番目から詳しくお伝えしたいと思います。
前回の記事
「目標達成率で評価するデメリット」
対話のための評価を行う
まずは、1つ目の「ビジョン共有」についてです。
目標管理の期間がどれぐらいにせよ、期末には目標に対しての実績が出ます。
目標の具体性にもよりますが、目標達成率も出ますが、もっと重要な視点があると考えています。
★充実度 : 目標に取り組んだ自らの活動内容によって、どれだけ充実感や達成感を感じることができたかの度合い
★貢献度 : 目標に取り組んだ社員さんの活動内容が、どれだけ企業全体や部署に貢献したかの度合い
1つ目の「充実度」は、社員さんが自分の活動を振り返って、自己評価します。
たとえば、目標達成率が高かったとしても、社員さん本人がそこから充実感や達成感を見いだしていなければ、それは喜ばしいことではありません。
充実感や達成感を見いだせなかった理由があるはずです。
その理由を、社員さん本人と上司が共有し、次期にはより充実感を感じられるような目標を対話によって探求していくことが大切です。
その対話のためには、「充実感」という主観的な感情についても公式に表明できる仕組みが必要です。
呼び名は何でもよいのですが、そのような目的で「充実度」を自己評価します。
2つ目の「貢献度」は、上司が社員さんの活動を振り返って評価します。
たとえば、目標達成率や充実度が高かったとしても、周りに貢献していなければ会社としてはあまり望ましい状況だとは言えません。
仕事は「誰かに貢献していること」が必要不可欠です。
ですので、周りへの貢献度という視点で社員さんの活動を振り返り、上司がそれをフィードバックすることが必要だと思います。
そのフィードバックをもとに、より貢献できる目標を、対話によって探求していけばよいのです。
評価は主観でよい
お気づきの方もおられるかと思いますが、充実度も貢献度も、どちらも「主観」による評価です。
貢献度は、ある程度の客観的なデータが示されることがあると思いますが、主観でまずいことはありません。
なぜ主観での評価でよいかというと、パートナー関係を築くためには、まずはお互いの「本音」を明らかにすることが必要だからです。
お互いの本音を明らかにしたうえで、より良い関係を目指して対話していくことがパートナー関係につながっていきます。
主観と客観という視点では、「主観が集まれば客観になる」という考え方も大切です。
たとえば、貢献度の客観性を高めたければ、上司一人が評価するよりも、部署で相互評価した方がより客観性が増します。
ノーレイティングは社員さんの成長をサポートする仕組み
次に、2番目の「成長サポート」について解説します。
目標管理をしっかりと実施すれば、成長のスピードが速くなります。
人生をより豊かにしたければ、自己成長こそが最も確実な方法です。
逆に成長していなければ、いずれは社員さん本人が困ることになります。
だから目標管理では、「社員さんの成長をサポートする」ことを目的とし、余計なことはしないことが大切です。
余計なこととは、人事評価を給与や賞与に直接的に連動することです。
話を成長サポートに戻すと、社員さんの成長をサポートするという視点で具体的な制度に落とし込むと、社員さん本人と上司が「成長度」を評価するという取り組みが有効になります。
社員さん本人は、自分の活動内容を振り返り、「自分がどれだけ成長できたか」を自己評価します。
上司は、社員さんの活動内容を振り返り、「社員さんがどれだけ成長できたか」をフィードバックします。
お互いの「成長」に対する見方を共有し、当期でどれだけ成長できたのかを共有していきます。
そうすることで、新たな成長課題を明確にし、次期の成長につなげていくことができます。
もし、人事評価の点数が給与や賞与に自動的に連動する仕組みがあったとしたら、どうしても人の意識はそちらに向かってしまいます。
ですので、もし目標管理を社員さんの成長をサポートするために機能させたいのであれば、人事評価で点数をつけない、つまり「ノーレイティング」になっていくのです。
この記事の続き
「パートナー関係を築くための目標管理」
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