社員さんの管理を強化するデメリット
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いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。
次の9つの経営環境の変化が、人事制度の未来像にどのような影響を与えるのかを解説しています。
① 金銭的報酬によるインセンティブが困難になる
② 職業人生が長期化する
③ 不安を抱える若年層が増える
④ 仕事とプライベートの境界がなくなる
⑤ 企業の内部と外部の境界がなくなる
⑥ 高度な専門技能と、専門分野以外での人的ネットワークが必要となる
⑦ 権力によるリーダーシップが成果を生まなくなる
⑧ 多様性を積極的に受容する必要性が高まる
⑨ 短期的な利益よりも社会貢献や持続可能性を重視する傾向が強まる
今回は、組織と個人の関係性の変化によって、人事制度がどう変わるのかを述べていきます。
※前回の記事「給与決定の未来像とは?」
リモートワークがもたらす人事制度への影響
ここ数十年で、組織と個人の関係性は大きく変わってきていましたが、コロナ禍によって変化が一気に進んだ感覚です。
特に、上記の4番目と5番目にあるような変化は、コロナ禍によってリモートワークやオンラインミーティングが一般化したことで、一気に進んだように思います。
私もコロナ禍の前は、お客さまの会社に伺ってミーティングをすることがほとんどでしたが、コロナによる緊急事態宣言の期間中はすべて自宅からのオンラインミーティングに変わりました。
そのことによる心理的な変化は大きく、仕事とプライベートの境界線がなくなりました。
このことは、人事制度にも大きな影響を与えます。
まず、労働時間を管理することが困難になります。
一般的には、それぞれの会社で所定労働時間が決められていて、社員さんが何時間働いたかを何らかの方法で把握し、超過すれば残業として割増賃金を支払うということになっています。
しかし、仕事とプライベートの境界線があいまいになるリモートワークでは、何時間働いたかを把握することが難しくなります。
労働時間を管理することによって、社員さんの頑張りを測ろうとする価値観を変える必要があるということです。
どのような人間観で人事制度を設計するか
リモートワークの進展によって、人事制度のサブシステムである勤怠管理は大きく2つの方向に向かっています。
※私は「勤怠管理」という言葉が好きではありませんが、一般的に使われているのでここでは使うことにします。
1つ目は「管理を強化」の方向性で、2つ目は「自律を開放」する方向性です。
現在は多くのHRテックのサービスがありますが、そのようなテクノロジーを使って社員さんの行動を何らかのかたちで管理することは、ある程度は可能です。
しかし、仕事とプライベートが交錯する働き方をする人にとっては、労働時間を算出するための作業自体が無意味に感じられますし、
自分の行動を自分でマネジメントできる人にとっては、管理を強化する方向性は、自分を軽視されているようにも感じます。
かつ、リモートワークの進展によって、社員さんを管理すること自体の難易度が増した状況下では、管理を強化する方向性を採用すればその管理コストだけでもかなりのボリュームになります。
多くのコストをかけ続け、しかも、頑張っている社員さんの自尊心を傷つけるような施策が良いとは思えません。
人事制度は、社員さんの「自律を開放」する方向性が望ましいと思います。
しかし、自律を開放する方向性に対して、いろいろな不安や疑問もお聞きしますので、次回はそれらの不安や疑問についてお応えしたいと思います。
※この記事のつづき「真のエンゲージメントを高めるために」
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