従来型人事制度の仕組み
- カテゴリ:ノーレイティング(No Rating)
従来型人事制度の仕組み
今回は、ノーレイティングの仕組みについて触れていきます。
人事制度が専門ではない方々にも分かりやすくしたいので、
ノーレイティングの仕組みを説明する前に、
一般的な人事制度(従来型人事制度と呼ぶことにします)の
仕組みについて触れたいと思います。
人事制度は3つの制度からできている
人事制度が専門でない方にとっては、
「人事制度の仕組みって、なんだか難しそう」
と見えるかもしれませんが、実はそんなに複雑な構造ではありません。
従来型人事制度は、3つの制度からできています。
1. 等級制度 :社員さんを格づけする仕組み
2. 評価制度 :社員さんを点数づけする仕組み
3. 給与制度 :社員さんの給与を決める仕組み
組織によっていろいろな呼び方がありますし、
人材育成やキャリア開発の仕組みが加わったりしますが、
核となるのは上記の3つの仕組みです。
それぞれの制度を詳しく説明すると
かなりの分量になってしまうので、簡単に解説します。
格づけするための等級制度
等級制度は、1等級から6~9等級くらいまでの等級を設定して、
社員さんをどこかの等級に格づけする仕組みです。
等級の数は、組織によって違います。
私が実際に見たなかでは、40等級まである組織もありましたが、
一般的には、中小企業で6等級、中規模以上の企業で9等級ぐらいです。
等級を決める基準もいろいろあります。代表的な基準でいうと、
「職務遂行能力(職能)」「コンピテンシー」「役割」「責任」「職務」
などの基準で格づけ(等級決定)を行います。
「職務遂行能力」を基準にすると『職能資格制度』になり、
「コンピテンシー」を基準にすると『コンピテンシー制度』になるなど、
何を基準にするかによって呼び方が変わります。
等級が変わることを「昇格(降格)」と呼び、
厳密にいうと、役職が変わる「昇進(降職)」とは別の人事登用になります。
おおくの場合、等級は役職と連動するように設計されます。
たとえば、1等級から6等級まである等級制度をイメージすると、
一般社員 = 1~3等級
係長 = 4等級に該当する社員から登用する
課長 = 5等級に該当する社員から登用する
部長 = 6等級に該当する社員から登用する
というように、等級が役職登用の条件になっていることもあります。
あるいは、4等級以上は「管理職」と「専門職」に分かれて、
どちらかのコースを選べるようにしている等級制度もあります。
制度の細かいところでは、いろいろな違いがありますが、
何らかの基準で格づけを行うことには変わりありません。
これが社員さんを格づけする「等級制度」といわれる仕組みです。
等級制度のねらい
等級制度で格づけすることに何の狙いがあるのかというと、
『外発的動機づけによって社員さんのモチベーションを高めたい』
ということです。
等級制度は、あとで説明する「評価制度」と「給与制度」と連動して、
人事処遇(給与や登用)を決める仕組みです。
頑張れば良い処遇が与えられるという仕組みをつくっておけば、
社員さんは自然と頑張るだろうというコンセプトですが、
これがいかに間違った認識であるかは、今まで述べた通りです。
それどころか、こういう外発的動機づけによる仕組みは、
逆にモチベーションや創造性を妨げる結果を招きます。
これ以上、等級制度の仕組みのことをお伝えしだすと
あまりにも専門的になりすぎるのでここまでにしますが、
等級制度のイメージはご理解いただけたでしょうか?
少し長くなってしまいましたので、
評価制度と給与制度の説明については、次回にしたいと思います。