企業の命題は永続なのか?
- カテゴリ:ノーレイティング(No Rating)
常識を疑う
ノーレイティング型人事制度の話題に進む前に、ノーレイティング型人事制度が前提としている組織運営に必要な考え方や枠組みについてお伝えしていきたいと思います。
前回に、ノーレイティングの本質とは「人間中心の組織運営」だとお伝えしました。
言葉にすると、当然すぎるぐらい当然のことなのですが、実際には、これまでの社会は「企業中心の組織運営」だったと思います。
それは「企業の命題は永続すること」という常識にも現れていると思います。
私がコンサルタントの世界に足を踏み入れた頃には、「企業の命題は永続」ということは、常識として疑いようのない考え方でした。
この常識を疑い、企業の命題について改めて考える時期にきていると思っていますし、それがノーレイティングの本質をより深く理解することにつながると思っています。
※前回のブログ「ノーレイティングの本質」
企業の永続は目的ではない
企業の命題は永続なのでしょうか?
たしかに、企業がなくなる(倒産する)と、その企業の商品・サービスを必要としている顧客や、原材料などを購入してもらっている取引先、その企業で働いている社員さんは困ります。
そういう意味で、企業が事業活動を続けることは、大切なことだと思います。
しかし、企業が永続することは、目的を達成するための手段であって、目的は別のところにあります。
企業の目的とは、かたい表現で言えば「社会に貢献すること」、平たく言えば「人を幸せにすること」だと思います。
「永続」は、事業を通した「目的」実現のための「手段」であるはずですが、企業を存続させることが目的になってしまうと、「人間中心」とは言えない組織運営になっていきます。
これまでの社会では、「企業の命題は永続すること」という言葉が一人歩きし、手段が目的となってしまっていたと感じています。
私が考えるノーレイティング型人事制度は、経営者さんだけではなく社員さんも、企業の目的を改めて考えるきっかけにしてもらいたいと思っています。
人間中心の組織運営とは?
人間中心ではない組織運営の典型例としては、コストカットと称して人員削減を行った企業(経営者)が評価されるということがありますが、
「人間中心」ということを掘り下げて考えていくと、下記のようなことも組織中心だといえます。
1.上司が権力を持ち、上司の指示には必ず従わなければならない。
2.副業をしてはいけないという社内ルール、あるいは暗黙の不文律がある。
3.人事異動を自由に希望できない。
4.関係を解消する意思表示の自由度に、企業側と社員側に差がある。
1番目から3番目に関しては、社員さんの自由を奪うことになるので、理解しやすいと思いますが、4番目に関しては少し違和感を覚える方もいらっしゃると思います。
実は、ここがノーレイティング型人事制度の根幹に関する考え方になりますので、次回に詳しく説明したいと思います。