共創関係を築くために必要なこと
- カテゴリ:ノーレイティング(No Rating)
一人ひとりの自律が必要
生きがいラボのノーレイティング型人事制度では、社員さん一人ひとりが半期ごとに自分の貢献内容と給与額を自己申告します。
それと同時に、その内容と自分の人生ビジョンがどのような関係にあるのかを考えてもらうようにしています。
なぜそのような取り組みをしているかというと、企業と社員が共創関係を築くために必要だと考えているからです。
前回に、企業(経営者・管理職)と社員さんが共創関係を築くには、「共有ビジョン」が必要だとお伝えしました。
※前回のブログ「企業と社員が共創関係を築く」
「共有ビジョン」とは、誰かがつくったビジョンを共有するのではなく、一人ひとりのビジョンを対話を通して共有するなかで、その相互作用のなかで浮かび上がってくるビジョンのことです。
ここで大切になるのが、一人ひとりが自分の人生のビジョンを描いているということです。
「自分はどんな人生を歩んでいきたいのか?」
「どんな自分になっていきたいのか?」
「自分が大切にしたい価値観は何なのか?」
「自分はどんな社会をつくっていきたいのか?」
ということを、一人ひとりが自分の内面を探求し、ビジョンとして認識していることが大切になります。
つまりは、共有ビジョンを構築し、企業と社員さんが共創関係を築くには、社員さん一人ひとりが自分の人生を「自律」して歩んでいることが求められるのです。
※私は「自律」の定義を、『自分の頭で考え、意思決定し、その結果に全責任を負うこと』としています。
誰もが自律を望んでいる
私がサポートさせていただいている中小企業の場合、経営者と社員さんの関係性が「親子」の関係に近い場合が多くあります。
経営者は「親」として、「子ども」である社員を守り、一人前の「大人」になるように教育しているようなイメージです。
社員が自律できていない場合、親子のような関係になるのも致し方ない面もありますが、経営者さんから見ると「社員が依存的」だと見えているのですが、実は、経営者さんも「親」と「子」に似た関係のなかで一時的な「快」を得ていますので、そのような関係に依存していると言えます。
しかし、そのような依存した関係では、心から信頼しあって、一緒に歩んでいくことはできません。
社員さんのことを本当に大切だと思うならば、一日も早く独り立ちさせ、「親子の関係」から「大人と大人の関係」になるべきです。
ここで、よく聞くのが、「人間のなかには依存して生きたい人もいる」という意見です。
私は、「人間とは何か」を完全に理解しているようなことはありませんし、それは誰もが不可能なことだと思うのですが、
「人は誰しも、自律して生きていきたいと願っている」
というふうに、私は人間を理解しています。
ただし、今まで誰かに依存して生きてきた人が、すぐさま自分で何もかも決められるようになると思っていません。
トレーニングが必要だと思っています。
生きがいラボのノーレイティング型人事制度で、社員さん一人ひとりが半期ごとに自分の貢献内容と給与額を自己申告し、かつ、その内容と自分の人生ビジョンがどのような関係にあるのかを考えてもらうようにしているのは、自律のための「トレーニング」なのです。
従来型の人事制度のように、「何をすべきなのか」「何をしたら評価されるのか」「何をしたらどれだけ給与が上がるのか」を企業側が示すというフレームワークよりも、
「自分は何をしたいのか」「自分の人生をどうしていきたいのか」を自分で考えてもらう方が、社員さんの人生がより豊かになると思っています。
そして、一人ひとりが自律的に生きるからこそ、本当の共創関係が築けるのだと思っています。
一人ひとりが自律していくと、企業の「あり方」も変わらざるを得ないのですが、この点については次回にしたいと思います。