経営側に必要な意識変革とは?
- カテゴリ:自己申告型給与制度
前回までは、「給与は投資である」というコンセプトに込められた
1.給与は、「未来の貢献」に応じて支払われる
2.給与は、「主観」に基づいて支払われる
3.給与は、「社員側」から提示される
という3つのメッセージについて扱っていきました。
「給与は投資である」というコンセプトを実現するには、社員さま側だけではなく、経営側にも意識変革が必要となります。
今回は、この3つの定義にもとづいて給与制度を実現するために、必要となる「経営側の意識変革」について解説したいと思います。
※前回のブログはコチラ「「社員」が給与を提示する制度」
私が提唱する「給与は投資である」というコンセプトは、企業と社員が「お金」でつながる関係になることを意図していません。
意図は、そのまったく逆にあります。
企業と社員が、「お金」でつながるのではなく、お互いを「パートナー」として尊重し合う関係を目指しています。
そのためには、逆説的ですが、
企業と社員の双方が「お金(=給与)」と真正面から向き合うことで、お金の力を超える「精神的自律」を獲得する必要があります。
社員さま側の精神的自律に関しては、給与の新しい3つの定義を説明するなかで扱ってきたので割愛します。
企業(経営者)側の精神的自律とは、社員さま一人ひとりを、一人の独立した個人として尊重することです。
言い換えれば、社員さまは企業活動の道具ではないと、明確に認識することです。
社員さまは、企業を成長発展させるために生きているのではなく、自分自身の幸せを追求するために生きています。
これは当然の事実なのですが、このことを忘れてしまうからこそ、都合よく社員さまを動かそうと考えてしまうのです。
「給与は投資である」というコンセプトを実践するということは、社員さま一人ひとりが「事業家」になるということです。
契約上は「社員」という立場かもしれませんが、意識のうえでは、一人ひとりが事業家になることを求めていきます。
会社に依存する意識を捨て、「自律」を促すわけです。
一方で、社員さまが自律すれば、魅力のない会社からは去っていきます。
あるいは、会社にいくら魅力があったとしても、自分のビジョンを実現するために会社を卒業することもあるでしょう。
経営者は、そのことを認識し、覚悟することが求められます。
自律した社員さまが魅力を感じる会社をつくり、かつ、ビジョン実現のために巣立つ社員さまを心の底から応援する姿勢が求められます。
言い換えると、社員さまに依存する意識を捨てるということです。
経営者と社員の双方が依存心を捨て、お互いへの責任を果たす意識になって初めて、パートナーになれます。
「給与は投資である」というコンセプトには、経営者と社員の双方の「精神的自律」を促進する意図があるのです。