自分の給与を申告してもらう意図
- カテゴリ:自己申告型給与制度
毎年11月と12月上旬は、1月に給与改定する企業さまの給与決定会議や、
冬賞与の決定会議など、お金に関する会議が続く時季になります。
当社のNo Rating(ノーレイティング)型人事制度では、
過去の実績や能力で給与が決まるのではなく、
「未来にどんな貢献をするのか」によって社員さんに投資することになります。
未来の貢献に対して投資するという考え方ですので、
社員さんからご自分の給与額を自己申告していただくことになります。
社員さんから給与額を自己申告してもらう制度は珍しいと思いますが、
ここには私なりの想いがあります。
お金に対する価値観を変える
生きがいラボは「人間の生きがいを追求する」という経営理念のもと、
すべての取り組みを「生きがい」をつくるために行っています。
もちろん給与額を自己申告してもらう仕組みも、
社員さん一人ひとりの「生きがい」につながると考えています。
私の考えでは、
仕事で生きがいを感じることの阻害要因になっているのが、
「お金に対する価値観」です。
精神力の強さがお金の力より弱いと、
生きがいを感じにくくなると思っています。
極端な言い方をすると、人生をお金に支配されてしまいます。
精神力がお金の力より弱いことによって、
・自分と他者の給与額を比べて、劣等感や優越感を持つ。
・昇給額(減給額)や賞与額によって、仕事への意欲が変化する。
・会社に対して、「支配されている」という感覚を持つ。
・一時的なお金のために、自分勝手なごまかしや嘘をついてしまう。
などのことが起こってしまいます。
お金がこの世に存在する限り、
お金の力よりも強い精神力を身につけないと、
これらのことは根本的に解決されることはありません。
お金と真正面から向き合う
とはいえ、お金の力が強力なことも事実です。
お金を得るための犯罪は後を絶ちませんし、
私自身の経験でも、
創業間もないころに資金ショート寸前まで追い詰められた時には、
正常な精神状態を保つことが難しく、
お金の恐ろしさを実感したことがあります。
お金の力よりも強い精神力を持つ、
言い方をかえるなら、「お金から解放される」には、
お金と真正面から向き合い、
自分の人生とお金について深く考えることが必要だと思います。
自分が「どうありたいのか?」「どうなりたいのか?」を深く考え、
そこから「お金とどう付き合うのか?」を考えることで、
お金のことで自分を見失うことがなくなります。
言葉でいうのは簡単で、実際は高いハードルなのは承知していますが、
一人ひとりがこのハードルを乗り越えなければ、
生きがいあふれる社会にはならないと思うのです。
一人ひとりが「お金から自律」することによって、
真の意味で組織と個人がパートナーになれるのだと思います。
社員さんから給与額を自己申告する仕組みは、
そういうメッセージを分かりやすく発信するための手段だと考えています。