自律した人の考え方
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自律的な価値観とは?
ノーレイティング型人事制度の目的の一つに、「自律性を発揮できる環境をつくる」ということがあります。
ノーレイティングの根本にある人間観は、「人は自律したい」という考え方です。
一人ひとりが持っている「自律性」を発揮できる、つまり、「自分で決められる」環境を整えれば、社員さんと企業の双方にとってメリットがあるという考え方です。
今回と次回は、「自律」ということについて考えていきます。
自律した人は、どんな特徴を持っているでしょうか?
自律した人は、自分にとって都合の悪い状況に置かれたとしても、その状況を受け入れ、自分が何をすべきかを考えます。
そして、自分の責任において意思決定し、行動を起こします。
自分が意思決定したからこそ、どのような結果になったとしても受け入れることができるのです。
自分で意思決定したことだから、うまくいったときには何物にも代えがたい喜びや達成感を得るでしょう。
うまくいかなかったときにも、その結果を素直に受け入れ、反省し、次の意思決定と行動に活かしていくことができるでしょう。
そもそも、自律的な人にとっては、「失敗」という出来事そのものがありません。
一般的には「失敗」といわれる状況も、次のステップへの通過点だと捉えるからです。
感情を選択する
自律した価値観を持っている人は、「感情は選択できる」という認識を持っています。
たとえば、上司に叱られたときのことを考えてみましょう。
上司に叱られたときには、私も含めてほとんどの人は、怒りや悲しみ、不安などのネガティブな感情が湧き起こります。
もし、自分の感情が、周りの環境によって引き起こされるものだと認識していれば、自分にネガティブな感情を抱かせた上司を否定することで、自分を正当化したくなるでしょう。
「上司は自分のことを分かってくれない」
「あんなに叱らなくてもいいのに」
「あの嫌味な言い方はなんだ」
「自分だってミスすることぐらいあるだろう」
「あなたみたいな人に言われたくないよ」
上司を否定することで、自分が成長できて、豊かな人生が歩めるのであればいいのですが、残念ながらそうはなりません。
他者を責めても一時の気楽さを手に入れることはできますが、長い目で見れば、人生にとってはマイナスの影響を与えるだけです。
自律した人でも、上司に叱られればネガティブな感情を持つことはあります。
「叱られるのが大好き」という人は、なかなかいないはずです。
しかし、自律した人は、「上司に叱られた」という事実をどのように解釈するかによって、感情を選択できるということを知っています。
「私の成長を促すために叱ってくれた」
「自分の成長のためには、上司の指摘は有用なものだ」
こう解釈することによって、ネガティブな感情として発生したエネルギーを、前向きに努力するポジティブなエネルギーへと変換できます。
このとき、上司がどういう人物であるかは関係ありません。
もしかしたら、自分の成長のためではなく、プライベートで嫌なことがあって、その八つ当たりで叱ったのかもしれません。
しかし、それは上司側の課題であって、自分の課題ではありません。
事実をどう解釈するのかを決めるのは、自分です。
上司がそこに介在することはないのです。
事実の解釈の仕方を変えれば、感情も変えることができます。
感情は選択することができるのです。
上司を否定する感情を自分で選択し続けていると、上司との人間関係が悪くなります。
それは上司が問題なのではないのです。
自分の問題なのです。
事実はどうであれ、そう考えることが自律的な考えになります。
そして、上司を含めた自分を取り巻く環境が、自分の人生ビジョンを実現することにつながらないのなら、自分の意思決定で環境を変えることになります。
その意思決定は、周りの環境を否定しているということではなく、「自分の人生にとってより良い環境を選択する」という前向きなエネルギーです。
このような自律的な考えを持っていると、人生が変わってくるのですが、その点については次回にしたいと思います。