社員さんが自律性を発揮できる人事制度
- カテゴリ:ノーレイティング(No Rating)
前回の内容は、コロナショックによって人事制度の方向性は、「統制強化」と「自律促進」に「二極化」していくとお伝えし、そのなかで前者の「統制強化」の人事制度のメリット・デメリットについて述べました。
※前回のブログ「アフターコロナの人事制度は二極化する」
今回は、「自律促進」の人事制度のメリットとデメリットを扱います。
自分で決めればおのずと意欲が湧く
私が設計のサポートをしているノーレイティング型人事制度も、自律促進の方向性ですので、今までの経験を通してそのメリットとデメリットを肌で実感しています。
メリット・デメリットの話に入る前に、「自律」を定義しておきたいと思います。
ここでは「自律」を、①自分で考える、②自分で決める、③決めたことに責任をとる、の3つの要素として定義しておきます。
人事制度における「自律促進」の方向性とは、社員さんが「自分で考える」「自分で決める」ことができるコトを増やしていくことです。
定義の3番目「責任をとる」に関しては、「自律促進」の人事制度の根本にある人間観は、
『人は、自分で考えて自分で決めれば、自然と責任をもって行動する』
という考え方ですので、どうやって「責任をとらせるか」を仕組みにする必要もありません。
実際に私の経験でも、ほとんどの社員さんは、自分で考えて自分で決めたことについては、責任をもって達成しようと努力されます。
自分で決めると創造性が高まる
仕事の目標などを自分で決めると、よりよい仕事をしようという意欲が自然と湧いてきます。
そして、そこには創意工夫が生まれます。
逆のことを考えると分かりやすいのですが、強制されてイヤイヤしている仕事ならば、そこには創意工夫しようという意欲は湧いてきません。
よい仕事をしようという意識ではなく、なるべく短い時間で済ませたいという意識になります。
このことは、誰しもが経験していることではないでしょうか。
このように、仕事に対する意欲が自然と湧きあがり、創造性が高まることが、自律促進の人事制度とメリットといえます。
管理する必要がなくなる
もう一つ大きなメリットは、管理コストを抑えられるということです。
リモートワークが進展して、リモートワーク中の社員さんが「怠ける」のをどうやって防ぐかという取り組みも見受けられますが、
自律を前提とした人事制度では、そのような過度な管理は必要なくなります。
この点については、社員さんを統制・管理する対象だという価値観が染みついている人にとっては理解しづらいようです。
そもそも従来型の人事制度は、社員さんを統制・管理する対象だという価値観に基づいていますし、以前の私自身もそういう人事制度の設計の仕方を学んできた経験がありますので、その価値観をシフトするのに時間がかかりました。
しかし現在は、自律を前提とした人事制度を10年以上取り組んできましたので、自信をもって「過度な管理は不要」だと言えます。
自律促進の人事制度のデメリットも扱おうと思ったのですが、すこし長くなりましたので、次回にさせていただきます。