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アフターコロナの人事制度は二極化する

  • カテゴリ:企業経営について

前回は、コロナショックによって働き方に不可逆的な変化が起きるというお話をしました。

 

今回はその変化によって、人事制度がどのように変わっていくのかについて扱いたいと思います。

 

結論から言いますと、人事制度の方向性は「二極化」していくと思われます。

 

 

1つの方向性は、社員さんへの統制・管理をさらに強めていく流れ。

 

もう1つの方向性は、社員さんの裁量を大きくしていく方向性です。

 

 

私が設計のお手伝いをしているノーレイティング型人事制度は後者なのですが、どちらが正解ということもなく、それぞれに良い点もあれば、課題も抱えているかと思います。

 

それぞれの特徴、効果と課題について考えていきます。

 

 

統制されたいという欲求もある

 

先に述べた2つの方向性を、前者を「統制強化系」、後者を「自律促進系」と呼ぶことにします。

 

コロナショックによってリモートワークが拡大しましたが、リモートワークをする社員さんを「怠けさせない」ための施策などは、統制強化系の一例です。

 

実は、一般的な人事制度のほとんどは「統制強化系」です。

 

つまり、社員さんに「何をしたら評価されるのか」「評価によって処遇がどのように変わるのか」を示すことで、社員さんの行動を統制しようという意図があります。

 

統制強化系のメリットについて考えてみると、社員さんから見ると「分かりやすい」ということが挙げられます。

 

「何をすべきなのか」が示されているのですから、そのことについて自分で考える必要がなく、組織から提示されたことに集中することができます。

 

 

デメリットとしては、組織から提示された「やるべきこと」に対する評価が、給与や賞与などの処遇と連動すると、

 

視野が狭くなる」「新しいアイデアが湧きづらくなる」などが起こる可能性があります。

 

評価の結果と処遇を連動させれば、社員さんのパフォーマンスが向上するように思いがちですが、そうならないことは心理学や脳科学の研究で明らかになっています。

 

私の経験上でも逆効果になることがほとんどですが、個人のパフォーマンスが向上しないことよりも、より深刻なデメリットになる可能性があると感じています。

 

 

経営者の孤独はどこから生まれるのか?

 

より深刻なデメリットとは、社員さんの「依存心」を助長してしまうということです。

 

特に、今回のコロナショックのような大きな変化が起きたときには、人間なら誰しも、他者に依存したくなる気持ちが高まることがあります。

 

先行きが不透明になると、社員さんから組織のリーダーに対して、「何をすべきか示してほしい」という声が強くなります。

 

たしかに、組織の方向性を示すことはリーダーの役割だと思いますが、誰も先行きが読めない不透明な時代においては、リーダーに解を求めるのは無理があります。

 

リーダーとメンバーが、ともに方向性を探求していくことが大切なのですが、統制強化系の施策が継続的に行われていると、メンバーのリーダーに対する依存心はどんどんと強くなっていきます。

 

今回は詳しく述べませんが、メンバーの依存心に応えることで、リーダーもある種の欲求を満たせることもあり、どんどんと統制が強化されるというサイクルが回っていきます。

 

人は、他者からの統制を求める(=依存したい)気持ちもあれば、統制を嫌う(=自律したい)という気持ちも持ち合わせていますので、

 

統制を求める一方で、統制されることに拒否反応も示します。

 

統制への拒否反応は、意欲の低下不満の増大として現れますので、リーダーは「統制が足りない」と感じてしまいます。

経営者さんから「経営者は孤独だ」という声をお聞きすることがありますが、その一方で、社員さんは「経営者は自分たちのことを信頼していない」と感じていて、

 

どちらか一方の問題ではなく、双方がそういう状況をつくっているのです。

 

統制強化系の施策をとれば、必ずこうなるということではありませんが、そういうリスクを持っているのは間違いないと思います。

 

 

今回は、「統制強化系」のメリット・デメリットについて扱いましたので、次回は「自律促進系」について考えたいと思います。