ノーレイティングでの給与制度
- カテゴリ:ノーレイティング(No Rating)
ノーレイティングと従来型人事制度の違い
前回から、ノーレイティングの仕組みについて、
従来型人事制度と比較しながら、できるかぎり具体的にお伝えしています。
※前回のブログ「ノーレイティングの仕組み」
従来型人事制度のそれぞれの制度は、
当社の「ノーレイティング型人事制度」では次のように変化します。
- 従来型人事制度 → 「ノーレイティング型人事制度」
1.等級制度 → 「なし」
2.評価制度 → 「360度フィードバック制度」「キャリア開発制度」「1on1制度」
3.給与制度 → 「自己申告型給与制度」
今回は、従来型人事制度とノーレイティングの違いが顕著である
「給与制度」について解説します。
良かれと思ったことが裏目にでる給与制度
これまでに何度も経験したことですが、私が
「社員さんの点数づけやランクづけをしない人事制度をつくっています」
と言うと、多くの経営者さん・人事担当者さん・コンサルタントの皆さんは、
「じゃあ、どうやって給料を決めるのですか?」
とご質問されます。
それだけ「人事制度=給料を決める仕組み」というイメージが強い
のだと思います。
人事制度の目的は、別に「給与を決める」ということではないのですが、
「給与を決める」という機能があるので、そこが目立ってしまうのです。
人事制度は、「給与を決めなければならない」という宿命を背負ったために、
どんどん複雑な構造を持たざるを得ませんでした。
たとえば、
▶ どうやったら、社員さんが納得できる点数をつけることができるか?
▶ どうやったら、社員さんがやる気になる点数をつけることができるか?
▶ どうやったら、社員さんがやる気になる昇給額や賞与額を導き出せるか?
これらの問いは、人事制度を設計する者からすると当然の課題なのですが、
実はこれらの問いは、追求すればするほど「裏目」にでる問いなのです。
私の経験上、人事制度をつかって「社員をコントロールしてやろう!」と
思っている経営者さん・人事担当者さんはほとんどいません。
多くの経営者さん・人事担当者さんは、
社員さんがやる気になるような人事制度を目指していて、
それは社員さんのことを大切に考えているからです。
そして、上記の問いに向き合い、
点数づけ(=人事考課)や給与決定の方法を試行錯誤しています。
しかし、社員さんから見ると、
経営者さんや人事担当者さんが人事制度を凝れば凝るほど、
人事制度がどんどん、強制的に、限定的に、複雑になるように感じます。
つまりは、外発的動機づけが強まってしまうのです。
では、この悪循環を断ち切るために、ノーレイティング型人事制度では、
どんな給与制度の仕組みになっているのかを次回に紹介したいと思います。