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企業が社員さんに提供するものは安心・安定・安全だけでいいのか?

  • カテゴリ:自己申告型給与制度

いつもありがとうございます。生きがいラボの福留です。

私が設計と運用のお手伝いをしている人事制度は、社員さんに点数をつけなかったり、社員さんが自分の給与を自己申告したりと、普通の人事制度とはかなり違いがあるのですが、

このような取り組みに行きついたのは、私が創りたい「未来の社会」を意識して発想したからです。

社会のなかの何かを変えようとするときには、今の目に見えている問題をモグラ叩きのように潰していくアプローチではなく、

未来に創りたい状態を意識して、そこから何が必要なのかを発想していくことが大切だと思っています。

その方が創りたい未来に近づく可能性が高いからです。

この考え方を人事制度に当てはめると、よく耳にする評価や給与への不満を解決するアプローチではなく、まったく別のアプローチになります。

今回から数回にわたり、創りたい未来から「人事」という分野を見ていきたいと思います。

 

現在の人事施策の問題点

 

私が思うに、よく見る人事施策の背景には、

「労働者をいかにして守るか」
「社員をいかにコントロールするか」

という狙いが存在しているように思います。

そしてその根底には、「労働者は守らなければならない弱い存在」「社員はコントロールできる」という価値観があります。

「守る」という視点では、確かに守らなければならない人たちはいます。

就労が困難な障がい者やメンタルヘルス不調者、不安を抱える若年層、育児中の人たちなどの、自分一人では解決困難な問題を抱える人たちは、社会全体で思いやりをもって守ることが必要です。

しかし現在の労働法制や雇用慣行は、「守る」という考えが拡大解釈されているように感じます。

その結果として、無責任に権利ばかりを主張する人を大量生産してしまった、と私は感じています。

もっと残念なことは、人生を自分の力で切り拓くことで味わえる『生きがい』を感じる機会を奪ってしまっているように感じます。

 

社員さんに約束することを変革する

 

人材採用に関しては、就活する大学生を含めた求職者の興味の中心は、初任給額や労働時間、休日数、有給休暇の取得率、退職金制度の有無、異動の有無などの労働条件や福利厚生に関することが大きなウェイトを占めています。

これらの状況を踏まえて、多くの人事に携わる人たちが考えているのは、

いかに安心・安定・安全を社員に約束するか

ということです。

安心・安定・安全な環境によって社員さんを守る人事施策は、とても大切なことだと思いますが、私が問題意識をもって感じていることは、

社員さんを守る人事施策が本当に社員さんのためになるのか、ということです。

人間の職業人生は、多くの場合において事業のライフサイクルよりも長くなります。

ある企業で長年にわたって守られてきた社員さんは、その企業でしか通用しない人材になっている可能性が高くなります。

なぜなら、守られることで、人間はどうしても現状維持の意識に陥ってしまうからです。

その企業でしか通用しない社内政治力だけが高まり、価値を創造するスキルが陳腐化していく。

結果として、その企業に守られなければ通用しない人になってしまいます。

だから、企業にしがみつくしか生きる術がなくなり、ますます社会で通用しなくなるという負のサイクルに陥っていきます。

職業人生において、これほど悲しいことはないでしょう。

さらに悲しいことは、自分が社会で価値を創れない人材であることに気づくのが、四十代後半から五十代になってからという人が多いことです。

今までの長年の職業人生が否定され、呆然自失になる人も見てきました。

社員さんを守ることは大切だと思いますが、過保護にすれば人は弱くなり、長い目で見ると、社員さんのためにならないように思います。

 

社員さんを守る人事施策のもう一つの弊害は、責任感よりも権利意識を増長させることです。

仕事の充実感や達成感は、責任を果たすことで得られます。

しかし、自分の責任よりも権利に関心が増すことで、仕事の本質的な楽しさが得られなくなります。

そうすると、ますます権利に目が向くようになりますから、現在の人事はこの悪循環に陥っていると思っています。

では、安心・安定・安全に代えて、何を約束すればよいのかというと、私は次の3つだと考えています。

1.社会に貢献する機会
2.成長(挑戦)の機会
3.自律の機会

自社のビジョンに共感し、ビジョン実現のために努力してくれることを前提条件として、これからの社会で企業が社員さんに約束すべきことは、

自社に関わることで「社会貢献」「成長(挑戦)」「自律」の機会を提供することだと思います。

次回から、1つずつお伝えしたいきたいと思います。

 

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