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成果主義はなぜ失敗することが多いのか?事例から成果主義の成功ポイントを考える

  • カテゴリ:企業経営

成果主義は、日本でもバルブ崩壊以降に多くの企業で導入されるようになり、企業業績を高めるために魅力的な人事制度として注目されました。

しかし、導入前の期待に反して、日本においてはあまりうまくいかないことが多かったようです。私自身も「成果主義人事制度を導入して社風が悪くなったので立て直したい」というご要望をよく頂きました。

本記事では、私自身が経験した事例から、成果主義が失敗した原因について解説していきます。

 

成果主義とは?その意味とメリット・デメリット

 

成果主義とは、社員さんの能力や努力ではなく、具体的な成果に基づいて評価・報酬決定を行う人事制度のことです。社員さんの成果を明確に評価することで、企業全体の業績向上を図ることを目的としています。

また、社員さん側から見ると、成果主義は、社員さんにとって「努力したら報われる」という明確な仕組みですので、モチベーション向上に繋がる可能性を秘めています。

一方で、社員さん間の競争が激化し、チームワークや協調性を阻害する恐れもあります。

 

成果主義がもたらす弊害:モチベーション低下や競争激化

 

成果主義は、社員さんのモチベーション向上や企業業績の向上に繋がる有効な制度として、バルブ崩壊以降に注目されましたが、その多くが失敗に終わったようです。本章では、成果主義がもたらす弊害について、具体的な事例を交えながら解説していきます。

成果主義導入によって最も懸念される弊害の一つが、社員さんのモチベーション低下です。成果が評価の全てとなることで、社員さんは短期的な成果達成にばかり目を向け、長期的な視点や創造性を失ってしまう可能性があります。

例えば、ノルマ達成に追われ、本来の仕事に対する熱意や興味を失ってしまうケースや、人事評価制度が複雑になりやすいため、かえってやるべきことが見えづらくなり、社員さんがモチベーションを維持することが難しくなるケースなどが挙げられます。

また、成果が評価される一方で、努力やプロセスが軽視される傾向も、社員さんのモチベーション低下に繋がることがあります。

もう一つの大きな弊害として、競争激化が挙げられます。成果主義導入によって、社員さん同士が競争を意識し、協力関係が希薄になる場合があります。

チームワークや協調性が重視される仕事においては、競争が激化することで、チーム全体の士気が低下し、成果が思うように上がらなくなる可能性もあります。また、競争が過熱すると、不正行為や倫理観の低下といった問題も発生しました。

さらに、成果主義は、社員さん間の不平等感を助長してしまったことも挙げられます。成果によって報酬や評価が大きく異なるため、成果を出しにくい社員さんは、疎外感や劣等感を抱きやすくなります。

これは、社員さんのモチベーション低下離職率の上昇に繋がっていきました。

ここまで書くと、成果主義は何も良い点がないように感じますが、仕事において「成果」は大切なのは言うまでもありません。

しかし、成果主義を人事制度に適用する「方法論」が極めて難しいのです。

まず、個人の成果を特定することが、極めて難しいことがあります。ほとんどの会社では、社員さんが単独で仕事をしているわけではありません。それぞれの仕事が複雑に影響を与え合い、成果が生まれています。

つまり、「これは誰の成果だ」と断定することが難しいのです。

しかし、成果主義で人事評価や報酬を決定するためには、無理やりにでも成果を個人に紐づける必要が出てきます。この時に、いろいろな人の努力によって生まれた成果が、特定の個人の成果だと認定されてしまうことで不公平感が生まれ、チームワークが失われていきます。

 

成果主義の未来:変化する働き方と人事評価のあり方

 

近年、働き方改革やテクノロジーの進化によって、仕事の価値観や評価基準は大きく変化しています。しかし、仕事において「成果」が大切なことは、どの時代においても変わることがないでしょう。バブル崩壊後におこった成果主義ブームとその失敗を教訓にして、人事制度は進化していく必要があると考えます。

例えば、リモートワークなどの柔軟な働き方が広がることは喜ばしい変化ですが、その一方で、上司が部下の仕事ぶりを把握することが難しくなっています。そうなると、プロセス面での人事評価が難しくなり、成果を可視化し、評価することが従来以上に重要になっています。

具体的には、目標達成度や顧客満足度、プロジェクトにおける貢献度などを数値化し、客観的に評価する仕組みが求められますが、これらはHR Techの進歩によってかなりやりやすくなっています。

また、上司からの評価だけではなく、同僚や顧客からのフィードバックを取り入れる360度評価なども有効でしょう。

しかし、一つの成果を特定の一人に紐づけることの困難さは解消されることなく、これからの時代ではますます大きくなっていきます。それぞれの仕事の専門性が高まっていけば、社員さん単独で成果をつくることが難しくなるからです。

この問題への一つの解決法は、無理やりに成果を個人に紐づけることを止め、チームの成果としてチーム単位で評価する方法があります。そして、成果を、個人の人事評価や報酬決定を行う根拠として扱うのではなく、チームや個人がさらに成長するためのバロメーターとみなし、「さらに成果を高めるためには何が必要か?」という議題でチームがコミュニケーションするための材料として扱うのです。

つまり、成果を、社員さんを評価するために使うのではなく、チームがコミットメントする共通ゴールとして機能させるのです。

 

まとめ

 

成果主義は、社員さんのモチベーション向上や企業業績の向上に繋がる有効な制度として期待されてきました。しかし、成果を個人に紐づけることの難しさや、競争激化によるチームワークの阻害、不平等感の助長など、多くの課題を抱えています。

成果を評価の基準とすることは重要ですが、チームの目標達成や成長のための材料と捉え、チーム単位での評価やコミュニケーションを促進していくことが重要です。

これからの時代は、個人の成果ではなく、チーム全体の成果を重視し、組織全体の成長に繋がるような人事制度の構築が必要となります。

 

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