メンバーの成長のためにリーダーができること
- カテゴリ:人材育成/人材開発
今週は、お客様の会社で給与決定のための会議を行っています。
米国でNo Rating(ノーレイティング)を導入している企業では、
直属の管理職が部下の給与を決定することが多いですが、
当社のNo Rating型人事制度では、
経営陣とすべての管理職の対話によって、社員さま一人ひとりの給与を決めていきます。
■人に点数をつけることなど出来ない
経営陣と管理職で給与を決めていくときに、
社員さまに点数をつけるための評価基準などはありません。
社員さまに点数をつけたりするレイティングを廃止した人事制度を私が考案したのは、
「そもそも人に点数をつけることなど出来ない」という考えからです。
ましてや、わずか数十項目の評価基準によって、
社員さま一人ひとりの貢献を表わすことなどできるはずがありません。
とは言え、企業経営上はなんらかの方法で給与を決めていく必要がありますので、
制度で給与を決めることに妥当性がないのなら、
「みんなで決めるしかない」というのがNo Rating型人事制度の発想です。
直属の上司を中心に経営陣と他部署の管理職も加わって、
多様な視点で一人ひとりの頑張りを情報交換しながら、給与を決めていきます。
■給与を決めるよりも大事なことがある
今週のお客様の会議でも、社員さま一人ひとりに対して、
経営陣とすべての管理職の皆さんが意見交換していくわけですが、
実は、給与額を決めるよりも、時間をつかって話し合っていることがあります。
それは、「一人ひとりの成長」です。
私が思うに、人が成長するかどうかは、
ご本人が成長のために努力するかどうかですから、自分の責任になります。
ですから、組織のリーダーである管理職が部下の成長のためにできることは、
成長できる「環境づくり」だけです。
たとえば、
・より高いレベルの仕事を要求する
・新しい仕事を担当してもらう
・より大きな権限を持ってもらう
・新しい人と関わりを持つ機会をつくる
などの施策になりますが、これらの施策はすべて「変化」を伴います。
そう考えると、リーダーがメンバーの成長のためにできることは、
「変化を生み出す」ことだと言えると思います。
ここで問題となるのは、不安や恐れなどから、変化を嫌う人がいるということです。
変化を嫌う気持ちは、程度の差はあれ、人間が持っている感情ですから、
それを否定しても仕方ありません。
リーダーには、変化を嫌う気持ちを理解しつつも、
それでもメンバーに変化を求める覚悟が求められると思います。