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社員さんのエンゲージメント向上: 人事制度のあり方を見直す

  • カテゴリ:ティール組織(自律分散型組織)

社員さんのモチベーションやパフォーマンスは、エンゲージメントと相関性が高いといわれています。本記事では、まずは「一般論」としてのエンゲージメントの意味と重要性を解説し、最後に「生きがいラボ」が考えるエンゲージメント向上のための人事制度のあり方をお伝えしたいと思います。

 

エンゲージメントとは?その意味と重要性を理解する

 

エンゲージメントとは、社員さんが会社や仕事に強い関心と愛着を持ち、積極的に仕事に取り組む状態を指します。用語としては、従業員エンゲージメントやワーク・エンゲージメントなどのような使われ方もします。単に会社に「所属している」のではなく、会社や仕事に「コミットしている」状態といえるでしょう。エンゲージメントの高い組織は、社員さんのモチベーションや生産性が高く、ひいては組織全体の業績向上にも繋がるといわれています。

エンゲージメントが高い組織では、社員さんは仕事に意欲的で、自ら課題解決に取り組む姿勢が見られます。また、会社全体の目標達成に貢献したいという意識が高く同僚とのコミュニケーションも良好です。さらに、会社への愛社精神も高く離職率が低い傾向があるといわれています。

エンゲージメントは、個々の社員さんの能力やスキルを最大限に引き出し、組織全体のポテンシャルを向上させるための重要な要素です。また、社員さん一人ひとりにとっても、エンゲージメントが高い状態というのは、イヤイヤ働いている状態ではなく、自分の内側から「組織に貢献したい」「仲間に貢献したい」という意欲が湧いている状態ですから、「生きがい」が高まっているといえると思います。

 

エンゲージメントが注目される背景:なぜ重要なのか?

 

エンゲージメントは、企業にとって単なるお題目ではなく、組織の持続的な成長を支える重要な要素でもあります。なぜエンゲージメントがここまで注目されるのか、その背景にはいくつかの重要な理由があります。

1. 人材獲得競争の激化

近年、人材獲得競争はますます激化しており、優秀な人材を獲得し、定着させることは企業にとって大きな課題となっています。エンゲージメントの高い組織は、社員さんの満足度が高く、離職率が低い傾向にあります。これは、優秀な人材を確保し、育成するための重要な要素となります。

2. 生産性向上とイノベーション

エンゲージメントの高い組織では、社員さんは仕事に意欲的で、積極的に課題解決に取り組む姿勢が見られます。これは、組織全体の生産性向上に繋がり、ひいてはイノベーションを促進する力となります。社員さん一人ひとりが主体的に仕事に取り組むことで、新たなアイデアや発想が生まれやすくなり、組織全体の成長を加速させることができます。

3. 顧客満足度向上

社員さんのエンゲージメントは、顧客満足度にも大きな影響を与えます。社員さんが仕事に満足し、顧客に対して積極的に貢献しようという意識を持つことで、顧客満足度が向上します。これは、リピート率や顧客ロイヤリティの向上に繋がり、企業全体の収益拡大に貢献します。

 

社員さんのエンゲージメントは、人材獲得、生産性向上、顧客満足度向上など、企業にとって様々なメリットをもたらします。企業が競争力を維持し、持続的な成長を実現するためには、エンゲージメントを高めることが不可欠です。

 

エンゲージメントを高めるための具体的な施策

 

エンゲージメントを高めるためには、様々な施策を組み合わせることが重要です。ここでは、具体的な施策を4つのカテゴリーに分けて紹介します。これらの施策を効果的に実施することで、仕事に積極的に取り組み、組織に貢献したいという気持ちを持つ環境を構築することができます。

1. 社員さんの成長とキャリア開発を支援する

社員さんが自身の成長を感じ、キャリアパスを描けるように支援することは、エンゲージメントを高める上で非常に重要です。具体的には、以下のような施策が挙げられます。

  • スキルアップのための研修プログラムを提供する
  • キャリアパスを明確化し、キャリア相談制度を導入する
  • それぞれの能力や個性に合わせたジョブローテーションや異動を促進する

2. 働きがいのある環境を提供する

社員さんが安心して、意欲的に仕事に取り組めるような環境を提供することも大切です。以下のような施策を通じて、働きがいのある環境作りを目指しましょう。

  • ワークライフバランスを重視し、柔軟な働き方を導入する
  • 社員さん同士のコミュニケーションを促進し、良好な人間関係を築けるようにサポートする
  • オフィス環境を快適にするなど、気持ちよく働ける空間を提供する

3. 社員さんの声に耳を傾け、フィードバックを重視する

社員さんの声に耳を傾け、積極的にフィードバックを取り入れることは、エンゲージメントを高める上で欠かせません。定期的なアンケートや面談を通じて、従業員の意見や不満を把握し、改善策を講じるようにしましょう。

  • 社員満足度調査を実施し、結果に基づいて改善策を検討する
  • 定期的な面談を通して、社員さんの意見や要望を聞き取る
  • 社員さんからの提案を積極的に受け入れ、実現可能な範囲で実行する

4. 社員さんを尊重し、感謝の気持ちを伝える

社員さんの人としての価値を尊重し、感謝の気持ちを伝えることは、モチベーションを高める上で非常に効果的です。社員さんの頑張りと成果を尊重することで、社員さんは組織への愛社精神が高まり、より積極的に仕事に取り組めるようになります。

  • 社員さんの功績を称える表彰制度を導入する
  • 感謝状や激励の言葉を贈る
  • 社員さんの頑張りを社内報やホームページ、SNSなどで紹介する

 

エンゲージメントを高めるための施策は、企業の規模や業種、社員さんの属性などによって異なります。自社の状況に合わせて、適切な施策を検討し、継続的に実施していくことが重要です。

 

エンゲージメントを高める成功事例:実践的なヒント

 

エンゲージメントを高めるための施策は、多くの企業で導入されていますが、成功事例から具体的なヒントを得ることが重要です。ここでは、エンゲージメントを高める取り組みで成功した企業の事例を紹介し、実践的なヒントをまとめました。

社員さんの声を重視した成功事例:社員さんの声を活かした商品開発

ある化粧品メーカーでは、社員さんの声を積極的に商品開発に活かすことで、エンゲージメントを高めています。アンケートや意見交換会を通じて、社員さんのニーズや意見を収集し、商品企画や開発に反映させています。この取り組みを通じて、社員さんは自分の意見が商品開発に活かされていることを実感し、組織への貢献意欲が高まりました。また、社員さんが開発に携わった商品は、顧客からの評判も高く、売上増加にも繋がっています。

この事例から得られるヒントは、社員さんの声を単に聞き取るだけでなく、具体的な行動に移すことが重要ということです。社員さんの声を商品開発やサービス改善に活かすことで、自分の仕事が顧客に価値を提供していると感じ、エンゲージメントが高まります。

働き方改革を成功させた事例:柔軟な働き方を導入し、社員満足度向上

IT企業では、社員さんのワークライフバランスを重視し、柔軟な働き方を導入することで、エンゲージメントを高めています。社員さんが自分のライフスタイルに合わせて、勤務時間や場所を選べるようにすることで、仕事とプライベートの両立を支援しています。この取り組みによって、社員さんのストレス軽減、オンオフの切り替え、家族との時間確保などが実現し、社員さんの満足度が向上しました。さらに、生産性向上にも繋がっています。

この事例から得られるヒントは、多様性を受け入れ、柔軟な働き方を導入することが重要ということです。働きやすい環境を提供することで、エンゲージメントを高め、組織全体の生産性向上に貢献できます。

社員さんの成長を支援する成功事例:スキルアップ研修やキャリアパス支援

ある製造業の企業では、社員さんのスキルアップ研修やキャリアパス支援を充実させることで、エンゲージメントを高めています。一人ひとりのキャリア目標やスキルアップニーズを把握し、それに合わせた研修プログラムを提供しています。また、キャリアパスを明確化し、キャリア相談制度を導入することで、自身のキャリアプランを描くことを支援しています。この取り組みによって、自身の成長を実感し、組織への貢献意欲が高まりました。

この事例から得られるヒントは、社員さんの成長を支援することは、エンゲージメントを高める上で非常に重要ということです。スキルアップやキャリア開発を支援することで、社員さんは組織に貢献したいという気持ちを持ち、組織への愛社精神が高まります。

 

エンゲージメントを高めるためには、これらの成功事例を参考に、自社の状況に合わせて適切な施策を検討し、継続的に実施していくことが重要です。

 

人事制度とエンゲージメント:相乗効果を生み出すために

 

エンゲージメントを高めるためには、人事制度との連携が不可欠です。これまで見てきたように、社員さんの声を重視した商品開発や働き方改革、従業員の成長を支援する取り組みは、すべて人事制度と密接に関連しています。人事制度は、社員さんのモチベーション、能力開発、キャリアパス、そして働き方など、エンゲージメントに大きく影響を与える要素です。そのため、エンゲージメントを高めるためには、人事制度のあり方を見直し、エンゲージメントが高まる方向に進んでいく必要があります。

ここまでは「一般論」としてのエンゲージメントについて述べてきましたが、ここからは「生きがいラボ」が考えるエンゲージメントと人事制度についてお伝えしたいと思います。

エンゲージメントを高める人事制度の要素

  • 公平性と透明性を高める:人事に関する決定は、ブラックボックス化しやすい領域です。たとえば、自分の知らないところで自分の評価が決まっていたり、社員さんの生活を大きく変えるような人事異動などをいきなり知らされたりすれば、エンゲージメントが高まるはずがありません。社員さんを大切なパートナーとして尊重する姿勢は、情報をどれだけ公開しているかに現れます。生きがいラボが「自己申告型給与制度」という取り組みをしているのは、社員さんの人生にとって大切な「給与額」というものが、社員さんの知らないところで決まっているという一般的な人事制度の構造では、社員さんの心に会社のことを大切に思う気持ちが湧いてくるはずがないという問題意識があったからです。社員さんを大切なパートナーだと思えば、自然と情報の透明性が高まっていくはずです。
  • 社員さんの成長を支援する:社員さんが自分のキャリアをデザインし、そのためのスキルアップやキャリア開発を会社が支援することは、とても大切なことです。たとえば、研修プログラムや資格取得支援制度を導入することも、社員さんの成長を支援することにつながり、会社と社員さんがパートナーとなり、エンゲージメントが高まることにもつながります。ここで大切なことは、社員さんを単なる労働力だと考えていれば、社員さんの人生そのものを応援するような施策が生まれてこないということです。真のエンゲージメントとは、社員さんの人生を応援する会社の姿勢から生まれてきます。社員さんがご自分の人生の目標を実現するために、会社を巣立っていくことでさえも応援する姿勢が必要です。
  • 柔軟性と多様性を重視する:エンゲージメントは、堅苦しい言葉で論じられることもありますが、要は社員さんを一人の独立した個人として尊重すれば、自然と高まっていくものです。社員さんそれぞれのライフスタイルや働き方の多様性を尊重し、親身になって対応することが大切です。もちろん、会社の業態や状況によっては、すべての要望に応えることは難しいということもあるでしょう。その時には、要望に応えられない事情を率直に、誠実に説明することが大切です。それを、ルールによって自動的に判別しようとするような企業姿勢では、社員さんのエンゲージメントは高まりません。
  • 社員さんの意思決定を尊重する:一般的な組織論では、決定する権限は会社が持っていて、その一部を会社側から社員さんに移譲するというかたちで、社員さんの経営への参画度を高めていきます。しかし、この組織観だと、会社と社員さんの関係性は「上下」の関係性から脱却することができません。真のエンゲージメントは、会社と社員さんが対等なパートナーである時に自然と生まれるものであり、上下関係からは生まれません。つまり、上で述べた一般的な組織観ではなく、社員さんは自分に関することを自分で決める権利を「そもそも持っている」という組織観に変革する必要があります。多くの企業がエンゲージメントを高めようとして苦労するのは、施策に問題があるではなく、「組織観」に問題があるのです。そもそもエンゲージメントが生まれない組織観に基づいて、いくら施策を行ったとしても、効果がないのは当然です。

 

これらのことを踏まえて人事制度のあり方を見ていくと、再現性のある変革の第一歩は、「社員さんが自分の給与額を申告する」という取り組みになると考えています。私の経験から言っても、自律分散型組織、ティール組織と言われるような組織運営をしている会社の社員さんは、エンゲージメントが高いのですが、それはエンゲージメントを高めようという施策があったからではなく、エンゲージメントが自然と高くなる組織観によって運営されているからです。

 

まとめ

 

社員さんのエンゲージメントには、人事制度のあり方が大きな影響を与えます。会社と社員さんが対等なパートナーとして、互いに尊重し合い、対等なパートナーであることが不可欠です。情報公開による透明性、社員さんの意思決定への尊重、柔軟な働き方など、社員さんを一人の個人として尊重した組織観に根差した人事制度こそ、真のエンゲージメントを生み出す鍵となります。

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