人事評価制度の仕組み
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人事制度を形成する3つの制度
従来型人事制度は、3つの制度からできています。
1. 等級制度 :社員さんを格づけする仕組み
2. 評価制度 :社員さんを点数づけする仕組み
3. 給与制度 :社員さんの給与を決める仕組み
前回は、等級制度について解説しましたので、
今回は「評価制度」について解説したいと思います。
※前回のブログ「従来型人事制度の仕組み」
「人事評価」と「人事考課」の違い
「人事評価」という言い方の他に、
「人事考課」という表現もありますので、
まず、「評価」と「考課」の違いについて
触れておきたいと思います。
ほとんど同じだと考えてよいとは思うのですが、
ニュアンスが若干違います。
使う人によっていろいろな定義があるようですが、
「考課」とは、何かしらの基準で「点数をつける」イメージで、
「評価」とは、「長所」や「課題」を明確にするイメージです。
つまり、「人事評価」のなかに「人事考課」も含まれます。
人事評価制度の仕組み
さて、評価制度の仕組みについてですが、
等級や職種、職位ごとにさまざまな評価基準を設けて、
その基準によって点数をつけていくことになります。
評価基準は、いろいろな切り口がありますが、
主なものには、
◆情意評価:仕事をする姿勢や考え方に対する評価
◆能力評価:仕事をする能力に対する評価
◆成果評価:仕事の成果に対する評価
の3つに分けられます。
情意評価には、「情意評価の四要素」といわれる代表選手がいます。
◆規律性:「社内ルール」「法令」「約束」「時間」などのルールを守ること
◆責任性:自分の役割や目標を100%やり遂げようとすること
◆積極性:高いレベルの仕事や、やったことのない仕事にチャレンジすること
◆協調性:人と協力したり、人を助けたり、人を思いやったりすること
これらの要素に、「創造性」や「自律性」などの要素を加えて、
それを自分の組織に合うように具体的な項目にして、
一般的には直属上司が部下を評価し、点数をつけることになります。
『能力評価』は、職位や職種ごとに必要となる能力を明確にして、
その能力についての評価することです。
例えば、営業部署では「商品知識」「プレゼンテーションスキル」
などの項目を設けて、それを評価することになります。
『成果評価』は、仕事の結果や成果についての評価のことで、
営業部署でしたら「獲得した売上」「契約した件数」などの項目になり、
多くの場合は、目標管理制度のなかで目標を設定して、
その達成率によって点数をつけることになります。
一般的な人事評価制度では、
上司が部下に対して点数をつけますが、
上司だけではなく同僚や後輩、部下からの評価も行う
「360度評価」という制度もあります。
「多面評価」とも呼ばれたりします。
「何で評価するか」「誰から評価を受けるか」については
さまざま形態がありますが、
何かしらの方法で点数をつけていくのが「人事評価制度」です。
「目的」と「構造」がマッチしていない評価制度
人事制度に関する書籍やコンサルタントの言を見ると、
『人事評価制度は点数をつけるための制度』
と位置づけていることは「ない」と思います。
人事評価制度の「目的」は、どの書籍を見ても、
『社員さんの成長のため』
と書かれていますし、私もそうだと思います。
人が成長するためには、
自分以外の誰かからのフィードバックが必要です。
しかし、人事評価制度の「構造」をみると、
評価基準によって点数がつき、
それが昇給額(賞与額)に反映されていきますので、
結局は、「給与決定の仕組み」という部分が目立つのです。
外発的動機づけのなかでも、
金銭的報酬は人間の心理に大きな影響を与えますので、
社員さんからすると
「給与決定のための点数づけ」に見えてしまいます。
要するに、目に見えやすい制度の「構造」面が、
制度の「目的」達成の妨げになっているということです。
これは非常にもったいないことですので、
やはり「点数づけ」を廃止する必要があるかと思います。
次回は、「給与制度」について扱います。